ビジネス

2020.02.22

ソフトバンク支援のEC企業「Brandless」が廃業、その理由は?

Photo by John Sciulli / Getty Images


・ビジネスモデルのなかには、話が出来すぎていて、実現するとは思えないものがある。ブランドレスのビジネスモデルについては、消費者の観点に立てばまずい点はほとんどない。しかし、低価格ラインと高い顧客獲得コストが、当惑するような(かつ採算のとれない)事業運営につながった。

・大半のD2Cブランドと同様、ブランド知名度を向上させることと、顧客を獲得することは容易ではないとの認識はあった。ポップアップ・ストアは素晴らしいアイデアだったが、決して十分ではなかった。2019年10月には、旗艦店のオープンと、他の小売店と提携して同社商品の販売を展開する可能性を示唆していた。そう告知しておきながら、結局は実現に至っていない。

・価格設定は明らかに問題だ。商品を3ドルでオンライン販売して利益を得るのは難しい。ブランドレスは、価格を3ドルに固定するのを諦め、6ドルと9ドルの商品を追加したほか、最近では価格の幅を広げ、大麻から抽出されるオイルCBDを用いた60ドル以上の商品なども取り扱うようになっていた。平均発注額を増やすことが目標だったが、どうやら遅すぎたようだ。

ブランドレスの名前と顧客リスト、開発商品に価値があるのは間違いない。独立した企業としては、3年間という短い企業生命がこれで終わったかのように見えるだろう。とはいえブランドレスには、将来的に再生する道が残されていそうだ。

ソフトバンクと言えば、「ウィーワーク(WeWork)」のような野心的企業(ならびに派手に失敗する企業)に資金を提供するという悪い評判がつきまとっていたが、ブランドレスについてもその業績に汚点を残してしまったかたちだ。欠陥のあるビジネスモデルに資金をつぎ込むのは、良い道とは言えない。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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