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中国は電子機器製品のサプライチェーンの中心にある。そして、これら製品の受託製造サービス(EMS)各社は現在、かつて経験したことがない課題に直面している──新型コロナウイルスの感染が拡大、中国で何千人もが検疫の対象となるなか、関連業界はすでに多大な影響を受けている。

製造業専門のコンサルティング会社、米サプライチェーン・リソーシズ・グループの創業者ロン・キースによると、電子機器とその関連製品の54%(金額ベース)は、中国本土にある約280万の工場で生産されている。

これらの製品の製造工程は、手作業に頼るところが大きい。スマートフォンでもノートパソコンでも、生産には何百もの人の手が必要となる。だが、中国では現在、春節の休暇で帰省した人たちの多くが職場に戻れない状態が続き、工場の操業停止もいつまで続くか見通しが立たたない。

メーカーにとっては、今がクリスマス向けの新製品の開発を始める時期だ。そのタイミングで工場が閉鎖され、中国への渡航が制限されている。こうした状況がまず引き起こす可能性があるのは、次のようなことだ。

・遅延:工場が稼働を再開できても、サプライチェーンに生じた問題や渡航制限の影響は、すぐには解消されない。生産計画に生じた遅れは、発売の遅れにつながる。

・連携の乱れ:製品の設計チームと組立ラインが連携して製品の完成を目指すプロセスに乱れが生じる。

・生産拠点の多様化:このプロセスには、通常でも何カ月もの時間がかかる。メーカーが内製化を実現できない場合、生産に後れが生じる原因にもなるだろう。

SARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した2003年当時、シンガポールのEMS企業フレックスのゼネラル・マネージャーだった前出のキースは、新型コロナウイルスの感染拡大とSARSの流行の違いについて、次のように述べている。

「サプライチェーンの上流部門に占める中国企業の割合は、当時に比べて非常に大きくなっている。また、当時は現在ほど航空便の運休・減便が行われることもなかった。工場は稼働を続け、生産は止まっていなかった」

波及的影響


サンフランシスコと上海を結ぶ便には毎年、春になると中国の工場で作ったプロトタイプを手荷物として預け、ベイエリアなどにある開発部門に持ち帰るサプライチェーン・マネージャーが数多く搭乗する。自ら運ぶのは、スケジュールに生じた遅れを取り戻すためだ。

コンサルティング会社、米オン・タップ・コンサルティングのマネージングパートナーは、航空便の減便や運航停止が続けば、たとえ中国で新製品を完成させることができたとしても、米国で行う新製品のテストや認証のプロセスに影響が及ぶと指摘する。

また、ベイエリアで設計を行う電機メーカーの多くは、小規模になるプロトタイプの製作を地元の工場に依頼している。だが、現時点でそうした工場はすでにフル稼働の状態になっており、新規の受注は難しくなっているという。

編集=木内涼子

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