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2020.02.27 18:00

贅沢すぎる。プロデューサー立川直樹が箱根で手がける、音楽と温泉旅館の新境地

「ONGAKU RYOKAN」のプロデュースを手掛ける立川直樹氏(写真=小田駿一)

日本の飲食店や宿泊施設は、音楽に関して雑すぎるのではないか──。

1970年代から音楽、映画、美術、舞台、都市開発など多岐にわたる分野でプロデューサー・ディレクターとして活躍してきた立川直樹氏が、箱根・強羅の高級温泉旅館の音楽をプロデュースする「ONGAKU RYOKAN」プロジェクトを4月から始める。

旅館では四季に合わせて立川氏がセレクトしたCDやレコードをディスプレイし、最高の音質で音楽を聴きながら夜を過ごすことができる。立川氏自ら曲の解説もしたためる予定だという。

強羅温泉は早雲山の中腹にあり、人気の高い温泉である。「ONGAKU RYOKAN」の舞台は全室露天風呂付きの旅館「強羅花扇」。編集部は2月、4月の本格スタートを前に開かれたスペシャルな一夜に密着した。

絶景を眺めながら自家源泉掛け流しの露天風呂を堪能し、新鮮な魚介や飛騨牛を味わった後、ほろ酔いの浴衣姿で思い思いにラウンジに集まったのは、約30人の宿泊客たち。

高い天井に和のシャンデリアが瞬くロビーから続くラウンジには、神代欅の一枚板でしつらえた見事なバーカウンター。その上に無造作に並べられていたのは、立川氏が持参したCDやレコードの数々だ。

ラウンジの奥には「テクニクス」のオーディオシステムが配置されていた。今年55周年を迎えるパナソニックの音響機器ブランドだ。

なぜ、音楽に関してはずさんなのだろう


20時半、ベージュのセットアップ姿でラウンジに現れた立川氏がおもむろに口を開いた。

「これまで素晴らしい旅館やホテルに泊まったり、いいレストランに食事に行ったりするたびに、なぜ、こと音楽に関してはずさんなのだろう、と思っていました。音楽について、納得のいく施設や店に出会うことはほとんどなかった。だから、ちょっと、僕がやりますから。みんなで音楽を楽しんで、飲みましょう」

立川直樹 テクニクス
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文=林亜季、写真=小田駿一

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