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2020.02.24

起業は40歳過ぎてから? 年配者の方が成功する傾向

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起業家と言えば、想像するのは20代ぐらいの若者で、夢を追求するために大学を中退し、普通の人なら慎重な生き方を選ぶことにつながる失敗をものともしないような人物像だろう。

これは、ウォーレン・ベニスが著書『「天才組織」をつくる』で、最も独創的な集団の特徴として挙げている点だ。ベニスは例として、ディズニーが1930年代後半の急成長期に抱えていた従業員の大半は20代で、年齢の中央値は26歳だったことを指摘している。同じような話は、ビル・クリントンの選挙陣営やアップル創業当初の社員ら、さらには原子爆弾を作るため米ニューメキシコ州ロスアラモスに集まった科学者チームにも当てはまる。

ベニスによれば、調査した素晴らしいチームの大半では35歳はもう若くないとみなされていた。ベニスは、若者の長所として、多くが底なしのエネルギーを持ち、「不可能」なことに対する諦めの気持ちがない点を挙げている。

しかし、これは常に当てはまる事実なのだろうか? ペンシルベニア州立大学の研究チームが昨年発表した調査結果では、実は年配者層には貴重な起業家精神が眠っていることが示された。

研究チームが立てた仮説の中心にあるのは、年配者がさまざまな情熱を持っていて、それが新たなアイデアや革新につながる可能性があるという考え方だ。さらに、こうしたイノベーションは個人的・商業的な利益よりもコミュニティーの利益を念頭に置いていることが多い。

研究チームは例として、図書館で集まりスカーフをたくさん作っていた編み物グループを挙げている。グループは出来上がったスカーフを図書館前の銅像にかけておき、寒い日に人々が自由に持っていけるようにした。「これは非常に面白く、独創的だ」と研究者は述べている。

実は若者よりも成功率が高い年配起業家


ベンチャーキャピタリストのポール・グレアムはかつて、32歳を超える起業家に投資することはほとんどないと一蹴した。しかし、マサチューセッツ工科大学とノースウェスタン大学による昨年の研究では、年配の起業家の方が若者より大きな成功を収めることが多い事実が示されており、こうした考え方が差別的かつ愚かなものであることが浮き彫りとなっている。

研究結果によると、25歳未満の起業家の成功は非常にまれで、成功率は20代後半から増加し、50代になっても低下しない。米国の企業創業者の平均年齢は41.9歳で、特に成長率が高いスタートアップは45歳の起業家が創業していた。さらに、50歳の起業家は30代の起業家に対して高い成長率を達成できる確率が1.8倍だった。
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編集=遠藤宗生

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