新型ウイルスが浮き彫りにした、変化への潜在力
中国のエドテック市場はすでに世界をリードしており、ユニコーンと呼ばれる推定時価総額が10億ドル(約1100億円)を超える非上場企業も数社ある。米市場に上場済みの好未来の場合、昨年時点で純資産が200億ドル(約2兆2000億円)近くに達し、株価は1月半ばに5年ぶり高値をつけている。
エドテックは世界でも目覚ましい成長を続けており、市場規模は今年、2500億ドル(約27兆円)を超えるとみられている。この分野のベンチャーキャピタル(VC)投資も、やはり中国が圧倒的に多い。
オンライン教育やテレワークの利便性と、世界に対する中国の影響力の大きさ。この二つを重ね合わせると、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけとした現在の経験は、サステナビリティを高める方向に人々の働き方や学び方を変える、またとない契機になるとも考えられる。仕事や教育のオンライン化は、二酸化炭素(CO2)の排出量を迅速で簡単に減らせる方法でもあるからだ。
リーは、中国では「大半の人は大きな変化は期待していません。このウイルスはそのうち抑制され、通常の生活に戻ると考えているからです」と言う。一方で、今の事態は「グローバルなビジネスのやり方についてのモデルを切り替える、大きなチャンス」にもなっているとみる。勤め先のカタバは最近、国内外のクライアントと行っている会議を、対面型からビデオ会議アプリの「Zoom」を使ったオンライン方式に変更したという。
中国で今回、オンラインでの学習や勤務が一気に広がったことは、やむにやまれずそうした面があるとはいえ、多くのものに変化の潜在力と需要があることを示したとも言えるだろう。実際、中国のすべての世代の児童や生徒、学生がネットで教育を受けることに慣れれば、彼らが社会に出たときに非常に大きなチャンスを生み出すことになるはずだ。
新型コロナウイルスの予期せぬ結果、それは人々がみな、よりサステナブルな学び方、働き方をするようになる、ということになるかもしれない。