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スティーブン・セガール氏

2019年12月6日と7日、東京芸術財団主催、ミスズ共催の「クリスマス・てんこ盛りアート展示会!」のゲストに、世界的アクションスター、スティーブン・セガールが登場。日本への愛、武道の神髄、などを語った。


日本人から学んだ、“人の情け”

「親日家、日本通と呼ばれるのは正直、気分がよいものではありません」

インタビューでスティーブン・セガールは確かにこう述べた。

日本語が堪能で、日本文化にも精通、日本武道の達人でもあるセガールのこの発言は、無論、日本人を失望させる意図があったわけではない。

セガールは、17歳のときに日本に来日。以降、約20年間にわたって日本を第二の故郷と考えて、合気道、空手、柔道、剣道などの日本武道を学んだ。合気道の有段者であり、日本で道場の師範を務めたはじめての外国人でもある。日本武道を駆使した演技は、アクション映画スターとしてのセガールの真骨頂でもあり、その戦闘シーンはハリウッドでも絶賛された。

日本滞在時、核兵器がもたらした悲劇を知り、映画俳優として成功すると、すぐに世界に向けて反戦・反核を強く訴える平和運動を展開した。2005年には、個人として核兵器解体基金に10万ドルを寄付している。

「日本人の目から見れば、私は外国人としか映らないのかもしれません。しかし、私は青年期に、日本での生活を通じて、人間として大切にしなければならないことをたくさん学びました。日本の歴史、文化を心から尊重しています。映画撮影やチャリティで世界中の多くの国を訪れますが、日本人の礼儀正しさは海外でも高く評価されています。それが我が事のようにうれしいのです。私の心は、常に日本とともにあります。外国人としてではなく、日本人のように接してほしいのです」

日本で学んだ大切なことのひとつが、“人の情け”だという。実は今回の訪日の目的は、セガールいわく、“人の情け”を知り尽くす、ミスズ社長の半田晴久氏との再会だった。

半田氏から生き方と芸を学ぶ

「日本には、“武士の情け”“情けに刃向かう刃なし”という慣用句やことわざがあります。困っている子どもたち、障がい者がいれば、無償の愛で手を差し伸べるべきです。半田先生は実業家、芸術家としても素晴らしい経歴のもち主ですが、同時に、世界中でチャリティ活動に取り組まれていることにとても感銘を受けています。半田先生の社会貢献活動は混迷を深める世界情勢のなかで、ますます注目されるべきであり、私はそのインフルエンサーの役割を喜んで担いたいと考えています」



半田氏は、地球一丸化社会の実現を目指して設立したWSD(世界開発協力機構)では総裁を務め、アジア、アフリカの最貧国の社会福祉、衛生、教育、経済支援を自らが率先して行っている。真の人道支援とは貧しい国の人々、障がい者に深く寄り添い、生きがいをもたらすものでなければならないという半田氏の考えは、世界中のエグゼクティブにも大きな影響を与えている。

「私は何年も小児がんの子どもたちを励ます活動、あるいは動物愛護運動などを行ってきましたが、半田先生とお会いすると、もっと自分にできることはないか、人の役に立てることはないかという思いが一段と強くなるのです。同時に、半田先生はすべての活動に心血を注ぎます。手を抜くことを一切しないのです。芸術家としての半田先生の姿勢にも共感していて、映画俳優としてさまざまなことを学んでいます」

武道家として大切にしたいこと

アクション映画の世界的スターとして多忙な日々を送るセガールだが、武道への探求心はいまなお健在で、それは映画の役づくりにも生かされている。『沈黙の戦艦』(92)『暴走特急』(95)『DENGEKI 電撃』(01)など、セガールが演じる人物は、たいていの場合、無敵のタフガイで、大量の悪党をたったひとりでなぎ倒していく王道パターンにカタルシスを覚える映画ファンも多いだろう。しかし、実際には一作一作に対して強いこだわりをもっている。



「アクション映画には何十作と出演してきましたが、皆さんが最も楽しみにする格闘シーンで特に心がけていることがふたつあります。ひとつは、日本の武道の心を表現すること。もうひとつは、誰も見たことがない技を披露することです。武道の技をアレンジしつつ、スクリーン映像にも耐えられる迫力あるシーンを演じたいのです。そんな技など簡単に生まれるはずがないと思われるかもしれませんが、本格的なアクションをベースとした俳優としては、そこをブレークスルーする必要があるのです」

日本人の精神が世界を平和にする

セガールが日本の武道に関心をもったのは7歳のときである。アメリカン・フットボールを観戦中、ハーフタイムショーでたまたま合気道の達人が演武を披露した。セガールは言葉では言い尽くせないほどの衝撃を受けた。高齢であり、痩身でありながら、神秘的なオーラを放つ日本人が、自分に襲い掛かってくる屈強な男たちを赤子の手をひねるように次々に倒していく。実は、それもそのはずで、その人物こそ合気道の開祖であり、多くの伝説を残した植芝盛平氏だったからだ。

「当時は、植芝先生のことも、合気道のことも知りませんでした。確かなのは、植芝先生の演武を見て、私が一瞬にしてこの武道に魅了されたことです。学校を卒業したら、必ず日本に行こうと決意したことをいまも鮮明に覚えています」

人の運命とは不思議なものである。植芝氏は晩年、合気道の世界的な普及を目指し、さまざまな国で演武会を開いた。その技のあまりのすごさに海外の観客は声も出なかったという逸話も残っている。もし、植芝氏に、合気道を世界に広めようという発想がなければ、アクションスター、スティーブン・セガールは存在しなかったかもしれない。

合気道からの学びを通して、セガールのように世界平和実現を願う者は多い。そこには植芝氏の日本の古武術への畏敬の念、武道に込めた思いがあったことを忘れてはならない。

「日本の武道はどんな相手にも礼を尽くします。世界平和のためには、人類がひとつの家族となり、肌の色、民族、宗派の違いを超えて、お互いを認め合う社会にしていかなければなりません。私はそれを合気道から学びました」

そのセガールにはかなえたい夢がある。

「日本を舞台に、日本の古武術を現代風にアレンジした作品をつくりたいのです。現代版のチャンバラ劇で、すでに企画もつくりました。ぜひ、実現させたいと思っています」


2019年12月6〜10日の5日間、東京芸術財団主催、ミスズ共催で開催された「クリスマス・てんこ盛りアート展示会!」。スティーブン・セガールは6日と7日の2日間にわたってゲストとして登場した。セガールは半田晴久氏と軽妙なトークを展開したり、お茶を振る舞われたりして、会場を大いに盛り上げた。


Steven Frederick Seagal ◎1952年アメリカ・ミシガン州生まれ。アクションスター、武道家。88年『刑事ニコ/法の死角』で映画デビュー。主な出演作に『ハード・トゥ・キル』(90)『死の標的』(90)『沈黙の戦艦』(92)『暴走特急』(95)などがある。94年の『沈黙の要塞』では監督も手がける。

ミスズ
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