あなたは今、「いくら」で「誰」に買ってもらえるのか? 時代に左右されないキャリア思考法

値段がつけられた野菜たち


厳しい就職活動を乗り越えていったん入社してしまうと、その会社があたかも自分の「全世界」となってしまい、その中で何とかしようとする意識が働くものだ。自ら積極的に、広く世の中の新しい情報を吸収しようとする姿勢、もしくは余裕を失っていき、社内のルール(端的に言えば出世)に囚われてしまいがちとなる。
 
上記の人事部長は、社内の人間が皆そうなっていけば、企業として競争力が弱まっていくと感じていたのだろう。本当に真剣に会社の行く末を思い、新入社員への期待を込めてメッセージしてくれたのだと思う。今ではそんな彼の思いがよくわかる。
 

「今、身ひとつで社会に出たら」を常に意識する


僕は若い人には、「常に転職を意識する」ことを勧めている。「市場価値を意識する」というよりは、その方がわかりやすいと思うからだ。
誤解がないように補足すると、僕は「転職」自体を勧めることはほとんどない。転職するかどうかは本人が決めることだからだ。転職を「意識する」ことが大切なのだ。

今の会社を離れて別の会社に行く、または起業する、と意識すれば、今の環境を客観的にみられるようになる。どんな会社が自分を必要としてくれるか、自分が起業するなら何ができるか。今所属している組織を離れ、身ひとつで社会に出たときにどうなるのか。それを常に意識していれば、視座は自然と高くなり、見える世界は広がっていく。

人によっては、前向きな気持ちになれるという効果もある。視野が狭く社内しか目に入っていないと、閉塞感とともに嫌なところばかり気になるものだ。しかし「本気で」目を外に向けてみれば、「あれ、今の環境って意外と悪くないじゃん」と気づけることもある。

「自分をいくらで誰に買ってもらえるか」と考えたその結果が芳しいものではない場合もあるだろう。社内ではそれなりにやっていけても、社外で通用する「何か」なんて実は持っていないんじゃないかと気づいてしまうこともあるかもしれない。しかし、それに気づけたのは非常にラッキーなことだ。そこから視座を上げて、必要な努力をするきっかけを得られたのだから。

転職を意識すること、すなわち自分の市場価値を意識することは、現状をポジティブに認識することと表裏一体なのだ。逆説的なようだが、今の仕事にも充実した気持ちで向き合えるようになる。

「今、身ひとつで社会に放り出されたら?」あなたもぜひ、今すぐ考えてみてほしい。

連載:人生、気づいたもん勝ち! 先の見えない未来の歩み方
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文=岩田真一

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