ある日、腕時計を引っ張り出してApple Watchの代わりに使ってみようと思っても、1日のうちに何度も、そこにはない情報を求めて腕時計を見やる自分に気づく。精巧な技術が使われ、地位の象徴だった腕時計は、もはや時代遅れになったのだ。これがあなたの身にまだ起きていなかったとしても、心配はご無用、それは時間の問題だ。Apple Watchは完全に別種の製品、デジタル環境に合わせた腕時計の再発明なのだ。
今後Apple Watchの使用者が増える一方で、優越感を振りまきながらスイス製高級腕時計を見せびらかす古い人間も存在し続けるだろう。とはいえこうした人も、縮小を続ける市場の唯一の構成員になる。一方、今後の次世代スマートウオッチは、健康管理などの魅力的な機能の追加や、旧モデルが抱えていた問題の克服により、より多くの顧客を獲得するはずだ。
それがいまだに信じられない人、この販売統計が一時的な変動でしかないと思う人、あるいはスイスの腕時計業界がアルプスの地下壕(ごう)で巻き返しを狙っているに違いないと思い待っている人は、心配無用。そんな日々もいずれは終わり、待ちくたびれてしまうだろう。