「渡航制限」はコロナ拡大防止に悪影響、専門家が相次ぎ指摘

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世界保健機関(WHO)は、人々の渡航制限を可能な限り短期間にすべきだと述べている。検査キットの用意が整い次第、WHOは渡航制限を解除すべきだと述べている。

人々の移動を制限することで、感染地域の拡大を防ぐのは場当たり的な措置にすぎない。2014年のWHOの調査でも、渡航の制限は感染拡大の防止にほとんど役立たないことが示された。同じことは2009年の新型インフルエンザの世界的流行の際にも指摘された。

「渡航制限」では感染拡大を防げない


当時は米国とメキシコ間の航空便が約40%の減便となったが、人々の移動を制限しても感染拡大は止まらなかったことが確認されていた。

WHOは現在、6億7500万ドルの予算を用意して医療システムが未整備な地域への支援を進めようとしている。感染拡大を食い止めるためには、国同士の信頼をベースとした国際的な協調が求められる。人々の移動を制限すれば、国同士の協調が進まない。

米疾病対策センター(CDC)のトム・フリーデン医師は2014年に、移動の制限が疫病の拡大防止に逆効果をもたらすと指摘した。なぜなら、渡航制限を行うと経済的損失を恐れる政府が、疫病の発生を隠蔽しようとするからだ。さらに、移動の制限により実際の被害の査察が阻害されることになる。

一方で、中国の場合は政府による強行措置が人々に恐怖心を抱かせ、感染しても罰を受けることを恐れて、それを隠そうとする方向に人々を向かわせたとヌッゾは指摘した。その結果、人々は政府を信頼しなくなったと彼女は述べている。

「当局に対する信頼が失われることで、感染拡大がさらに進んでしまう」とヌッゾは続けた。

編集=上田裕資

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