FDAによれば、ウブレルヴィはカルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体拮抗薬で、このたび急性偏頭痛を治療する経口薬として認可されたという。開発元は米国アラガン社。この新薬は、1400回を超える臨床試験を行った結果、偏頭痛をすばやく緩和することが実証された。
臨床試験に参加した患者は治療前、吐き気、光や音に対する感覚過敏を伴う中程度から重度の激しい偏頭痛を訴えていた。治療薬を投与した結果、高い割合で患者の偏頭痛が緩和され、投与後わずか2時間で効果が現れたケースもある。もっとも多かった副作用は、吐き気と口の渇きだった。
偏頭痛治療の初めての認可薬
偏頭痛の緩和には、普通はOTC医薬品の鎮痛薬、オピオイド系鎮痛薬、吐き気止めなどが使われていた。ウブレルヴィは初めて認可された偏頭痛専門の治療薬である。
FDAの医薬品評価研究センター(CDER)の神経科学事務局長代理で、医学博士のビリー・ダンは、プレスリリースのなかで次のようにコメントしている。「米国ではおよそ3700万人が、日常生活にたびたび支障をきたす偏頭痛に悩まされている。ウブレルヴィは、成人の偏頭痛の急性期治療において有力な新しい選択肢となる、偏頭痛の症状緩和のための初めての認可薬である。FDAは偏頭痛に苦しむ患者のための新たな治療法を認可することを喜んでいる。これからも関係者とともに、安全で効果のある新たな偏頭痛治療法の開発を奨励し続けていく」
「頭痛」のそもそもの原因とは?
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偏頭痛は、ときには身体を衰弱させることもある、激しい頭痛と定義されている。この病気は遺伝することも多く、男性よりも女性に発症しやすい。騒音やストレス、あるいは特定の食物や匂いなど、さまざまな外部刺激によって引き起こされる。
偏頭痛の根本原因はいまも明らかではないが、「偏頭痛研究財団(MRF)」によれば、神経の化学的不均衡などが原因と考えられている。偏頭痛は4時間から72時間続き、吐き気、嘔吐、めまい、光・音・触覚の過敏反応といった症状を伴う場合が多い。
ウブレルヴィは予防薬ではない。臨床試験に参加した患者のほぼ4分の1は、ウブレルヴィを服用しながら予防治療も受けている。偏頭痛の予防治療には血圧降下剤や抗うつ薬、抗けいれん薬、ボトックス、カルシトニン遺伝子関連のペプチド受容体(CGRP)モノクローナル抗体などが使われる。