ビジネス

2020.02.17

鮮魚から多拠点居住まで JRを掛け算するインキュベーター

JR東日本スタートアップ代表取 締役社長の柴田裕(写真中央)をはじめ、8人のメンバーで、「JR 東日本スタートアッププログラム」 運営からスタートアップ投資や協業推進を行っている。


そのほかにも、水産流通プラットフォームを構築するフーディソンと資本業務提携し、品川駅構内に同社の鮮魚店「sakana bacca」を出店。さらに、新幹線物流による鮮魚の輸送実験も行った。また、駅をAI化し、駅・新幹線の流動予測を、AI企業のメトロエンジンと行ったり、無人AIレジ店舗「TOUCH TO GO」をサインポストと実証実験後に合弁会社を設立し、駅ナカでの買い物をスマートにすべく事前にスマホで注文・決済ができるサービスをShowcase Gigと実証実験している。


JR東日本品川駅構内の商業施設「エキュート品川」で、スタートアップ企業フーディソンが運営する魚屋「sakana bacca」を出店。

「『あなたの夢を未来へつなぐ「明日」創造ステーション』というキーワードを掲げていますが、豊かな暮らしづくりに対して、私たちだからできるポテンシャルは大きいと思っています」(柴田)
 
同社の設立の経緯は、17年に行った、オープンイノベーション型のビジネス創造活動「JR東日本スタートアッププログラム」から始まった。JR東日本の駅や鉄道、経営資源や情報資産を活用したビジネス・サービスの提案を募り、ブラッシュアップを経て実現していくプログラムで、審査の結果、19件の提案を採択、「初回から思いもよらない事業が生まれ、11件の実証実験を行いました」(同)。

翌18年の同プログラムでも23件の提案を採択し、「年度内の実証実験開始をコミットしています」という。
 
今後については、柴田をはじめとした8人のメンバーとともに、同社の取り組みを加速していく。「JR東日本スタートアッププログラム2019」では、JR西日本グループ、JR九州グループとのJR3社連携による事業アイデア募集も新たに行った。

「さまざまな化学反応が起き始めているのを見て、自分たちが思っている以上にパワーがあることを実感している。JR東日本グループが日本最大のインキュベーターになりたいと思っています」


αTRACKERS(アルファトラッカーズ)◎独立系VCのグローバル・ブレインが2018年12月に設立した、オープンイノベーション推進に積極的な大企業を集めたコミュニティ。日本を代表するCVC運営企業をネットワーク化して各社の活動を支援していく。参画企業はKDDI、三井不動産など35社。Forbes JAPANはメディアパートナーとしてかかわる。

文=フォーブス ジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN 1月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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