英国で議論の有害コンテンツ規制、フェイスブックやTikTokらが標的

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英国政府はフェイスブックやツイッター、TikTokなどのソーシャルメディア企業を、従来よりも厳格な規制下に置き、有害コンテンツから子供たちを守ろうとしている。

ユーザーの投稿によるコンテンツを掲載するインターネット企業は、テロ活動や児童ポルノ関連の投稿を放置した場合、英国の規制機関であるOfcomの指導を受けることになる。企業らは有害コンテンツを速やかに除去することを求められる。

削除対象にはネットいじめや、自殺や自傷行為などに関連する投稿も含まれる。Ofcomの支持に従わない企業は、罰金の支払いを求められ、取締役が処罰される可能性もある。

今回の法案は現在審議中であり、インターネット企業らは今後、政府へのロビー活動を行う見通しだ。

英国の児童虐待防止協会(NSPCC)や児童支援団体のBarnardos(バーナードス)らは、以前からSNSの規制強化を訴えており、今回の法案を歓迎している。Ofcomによると、12歳から15歳のインターネット利用者の5人に4人が、過去12カ月以内に有害コンテンツにアクセスしていたという。

しかし、インターネット業界からは今回の政府の方針が、現実的ではないとの声もあがっている。テック系スタートアップの業界団体Coadecの代表のDom Hallasは、「この法案はイノベーションを阻害するもので、実効性に乏しい」と述べた。

Hallasはさらに「政府の介入は混乱をもたらすのみであり、豊富なリソースや弁護士を抱える大手企業が有利になる」と話した。

英国ではネット上の有害コンテンツの排除が、遅々として進まないことに批判が高まっている。2017年には14歳の少女、モリー・ラッセルがインスタグラムの投稿が原因で自殺し、両親による訴えがメディアで広く報道された。

ドイツ政府は200万人以上の登録者を持つソーシャルメディア企業に、有害コンテンツの削除を義務づけ、違反した場合は最大560万ドルの罰金を科している。EUもインターネット企業が有害コンテンツの削除を怠った場合、売上の最大4%を罰金として徴収する制度を導入した。

編集=上田裕資

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