新型コロナウイルスで高級品市場から中国人顧客が消える?

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タペストリーの2020年会計年度の下半期の売上高は、当初予想より約2億~2億5000万ドル減少する見通しだ。ゼード・ザイトリンCEOによれば、状況によっては「さらに大きく減少する可能性がある」。

LVMHのベルナール・アルノー取締役会長兼CEOは米誌ウォール・ストリート・ジャーナルに対し、3月中も感染拡大が続いたとしても、「それほどひどいことにはならない」と述べている。ただし、「2年続けば、また別の話になる」という。

終息後の見通しは?


新型コロナウイルスの感染拡大が仮にパンデミック(世界的大流行)の状態に至っても、終息すればそれまで押さえつけられていた分、中国での需要は急伸すると予想する人が多い。高級ブランドは中国の消費者にとって、象徴的な意味があるからだ。前出のガンジーによれば、高級品の所有は消費者個人にとってだけではなく、国の誇りでもある。

ただ、急速な需要の回復が見込めるのは、パンデミックの終息後も消費者が仕事を持ち、可処分所得を高級品やぜいたく品の購入に充てる意思を持ち続けていた場合だ。

高級品市場の情報を専門に扱う「ラグジュアリー・デイリー」のミッキー・アラム・カーン編集長は、工場や店舗の閉鎖期間が長くなり、空港やホテル、レストランの利用客が激減した状態が長引けば、失業者が増える可能性が高まると指摘。「問題は、店舗やこうした施設で働く人たちの雇用が維持されるかどうかだ」と語る。

これらの人たちは、高級品市場で最高級の商品を購入することはないかもしれない。だが、高級コスメや衣類、ハンドバッグ、シューズのうち、より手ごろな価格帯の商品を最も多く購入する消費者層を形成しているのは、こうした人たちだ。

「高級品市場は、中国人の中間所得層の“あこがれ”に依存している。彼らが収入を失えば、同市場は顧客層を失うことになる」

編集=木内涼子

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