キャンプスタイルの一種で、たき火で料理をして簡素な道具だけで自然の中で過ごすサバイバル的な要素も強い。これが今、じわじわと流行っている。また、ひと昔まではキャンプと言えば、夏にみんなでワイワイというイメージだが、最近は、ソロキャンプ、そして冬キャンプの流行などより多様性が出てきている。
芸人のヒロシ氏がYouTubeでソロキャンプ動画で再ブレイクしているが、同氏がしているのもこれに近い。いや、同氏の動画も軍幕の値上がりの一因かもれない。
ブッシュクラフトには、この古いタープで作った原始的なテントがスタンダートとなっている。正直、新品のナイロン布のテントでも問題ないのだが、男の趣味は妙なところにこだわる。テントでなく「軍幕」、キャンプではなく、あえて「野営」という呼ぶ人も多い。これも男のロマンといればそうなのかもしれない。軍幕の唯一利点を言えば、コットン地は熱に強いため、たき火や薪ストーブを野営中に使えるという点だろうか。
本来はポンチョのため、腕を出す部分には穴が開いている。ここから薪ストーブの煙突を出しての使用も可能。
現代社会から逃げ出すための気の利いた口実
アウトドアグッズは常にハイスペックを求めて進化してきたはずだが、ここ最近、明らかに今までとは違う流れが来ていると実感する。
グランピングという快適さを求めるキャンプの流行りが来ている一方で、ブッシュクラフトという不自由さを求める流れも確実に来ている。
私がテントを初めて買ったのは登山を始めた高校生のころだから、もう30数年前。いかに軽いかが重視され、コットン地のテントは当時でさえ現代の遺物だった。蒸れない新素材ゴアテックスがまずアウトドアシーンで注目されたように、アウトドアというハードな環境は常に新素材の実験場だった。それがいきなりの原点回帰。これは音楽界がネット配信の一方で、レコードやカセットテープなどアナログが復活しているのと根は同じかもしれない。
アウトドアメーカーのパタゴニアが創業当時のウエアデザインを復活させ、人気を集めるなどここ数年、原点回帰のような動きは確かにある。そもそもキャンプ(ブッシュクラフト)という行為自体が、時々現代社会から逃げ出すための気の利いた口実。たき火を囲み、肉を焼いていた人類の原始営みへの回顧と言えるのかもしれない。ならば、デッドストックのコットン地の復活もある意味、まっとうな流れなのかもしれない。
個人的には、軍幕が今後どこまで値を上げるかが気になって仕方ない。
連載:週末遊牧民~森と都市の狭間を旅しながら~
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