重い、不便、それでも価格急騰のアナクロ回帰「軍幕」とは?

旧東ドイツ軍の軍幕

最近、秘かに価格が急騰しているアウトドアグッズがある。

一般にはほとんど知られていないが、ここ1、2年でどんどん値が上がっている。中にはすでに品切れ状態となり、いくら出しても買えないものさえある。

5年前には2千円弱で買えたものが今は1万円超えというケースもある。

そういう私自身もちょうど1年前に買ったものを、年明けに買い足そうと思ったところ前回の約2倍の価格になっていてびっくりしたばかりだ。春のキャンプに向けて早めに買ったのだが、ゴールデンウイークごろにはさらに急騰しているかもしれない。変動値の大きさは金や株どころではない。

そのグッズ、何かといえば海外の軍放出品のコットン地のタープやポンチョ。主なサイズは180×180cm。

通称「軍幕」。

興味のない人が聞けば、はぁ?と意味不明だろう。

しかし、これが最近ますます品薄なのだ。僕自身が持っているのはポーランド軍と旧東ドイツ軍のポンチョ。現行品でなく、20年ほど前のデッドストックか中古品だが、今のところ値上がりが止まらない。

一般商品であれば、生産量を増やし工場からの入荷を待てばいいが、デッドストック類はいずれ底をつく。そうなれば二度と手に入らない。そんな危機感もあって、われ先に買うのが消費者の心理だろう。

買える場所も限られている。主に大手ネット通販かネットオークション。私もどこか納得いかないまま昨年の2倍近い値段でネットオークションで買い足した。購入価格は1万円弱。届いた品は一年前に半額で買ったものより、状態はかなり悪いものだった。

ちなみに、1年前に私が買ったものは、今ネットオークションに出せば買値の2~3倍の値で売れることを知った(売るつもりはないが)。

なぜ、馬鹿みたいな値段で軍幕を買うのか?


実はキャンプのテントとして使うのだ。何枚か連結させ、テントロープで固定させるとさまざまな形の三角テントが完成する。ただし、古臭くて重いコットン地。防水性はないし、隙間だらけでまったく機能的ではない。軽量で機能的な最新のテントが1/3ぐらいの値段で買えるというのにいったい何を考えているのか──。

まったくその通り。ちなみにうちの妻もまったく理解できないと言っている。


180×180㎝の幕同士の連結はおおざっぱなボタン。もちろん隙間風も入ってきます。
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文・写真=小林キユウ

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