国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」


スタートからノーザン・テリトリー州の国境線を越えるまで、オランダのチーム同士、「ヴァッテンフォール」と「ソーラー・チーム・トゥエンテ」がトップを争い、東海大学が6番手で走行。しかし南オーストラリア州に入ってからは、思いがけない大自然の影響で脱落するチームが相次いだ。非常に強い横風に吹かれて道路からはみ出てしまうケースもあった。ゴールまで800kmほどのところで、横風の影響で道路から吹き出された1位走行の前出のトゥエンテと、ドイツの「チーム・ソネンワーゲン」が横転して脱落。それにゴールまで残り263kmのところを好走していた首位のオランダ「ヴァッテンフォール」が突如、炎上してリタイアする場面もあった。

結局、ベルギーの「チーム・アゴーリア」が初優勝を飾った。最後のキロメートルを効率よく走った東海大学は惜しくも2位。ちなみに、工学院大学が5位、名古屋工業大学が8位、呉港高等学校が13位という優秀な成績を記録した。


今大会はベルギー・チームが初優勝を飾り、東海大学が2位に。ブリヂストンが今後10年の支援を発表した

太陽光発電、次のステージへ


ブリヂストンは今回のラリーをスポンサードし、これから10年間スポンサーを続けることがつい最近発表された。簡単にいうと、同社が重点領域としている「モビリティ」「一人ひとりの生活」「環境」はソーラーチャレンジが見事に当てはまっているわけだ。世界一のソーラーラリーのオーガナイザーから見ると、下記の3つの理由でオーストラリアは最適。同国の日照時間が長いし雨が少ないこと、治安が良いこと、そして、ノーザンテリトリー州と南オーストラリア州の両州政府がとても協力的で同国の技術レベルが世界一流であること。しかも、このラリーを通じてブリヂストンは次世代の転がり抵抗の少ないタイヤを開発できる。この楽しいラリーの意義についてラリー・ディレクターのクリス・セルウッドに聞いてみた。

「いつも参加者に、他のチームのデザインや技術をマネしないで、独自の車両を作るように注意しています。そうすることで、ソーラーパワーに対する新しい考えが生まれます。このラリーを通じて、近未来のパーソナル・モビリティに貢献できるアイデアが生まれるといいと思っています。もう一つ重要な点は、これからEVが増えると、電気インフラ、つまりスマートグリッドに対する負担が大きくなります。これから作られるEVは、電気インフラに対応していないといけません」(セルウッド)

さらに、「EVの可能性を信じ続けたテスラのイーロン・マスクCEOは、(簡易決済サイト)ペイパルの起業で得た資金によって、テスラを立ち上げることができた」ともセルウッドは指摘する。

「ビジョンと金銭的なノウハウと想像力があれば、今までにないような挑戦ができる、ということですね」

多くの国々で、すでに太陽光発電が実用化されているものの、まだその技術を次の段階にステップアップさせるビジネスが登場していないだけだ、と彼は語る。

このラリーは単なる競争ではない。ブリヂストンのスポンサードが確実な期間にどれだけ新技術を実用化できるか—。次世代にクリーンで効率のよい環境を作れるかどうか、一つのカギになりそうだ。

文=ピーター・ライオン

この著者の記事一覧へ

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい