乳がんという「転機」


今回のことで、人の体というものに興味を持つようになった。体が心ともつながっていることを痛感した。これまでは、自分の体のことをあまりに知らなすぎた。ショックで頭や体が痛くなっても、Mには「心身症」だとわかるが、素人だと脳腫瘍ではないか、リンパ節に転移したのでは、と心配してしまう。

実際、そう言って外来受診する人は多い。痛いからがんじゃないか、と言う人も多い。そうMは話してくれた。何をどう説明しても不安そうな顔をしている場合は、全部検査してあげると、安心して来なくなるそうだ。ひょんなことで病気が見つかる場合もあるので、検査をするのが一番なのかもしれない、とのことだ。

無知なのだからしかたない。自分で思い込んではいけないのだが、不安が強すぎてそうもいかない。私も乳がんが見つかる半年前に、乳頭にズキーンと痛みが走り、触るとヒリヒリしたことがあった。3、4日で治ったので、そのままにしておいたのだが、あれはがんの症状だったのではないか? と思ってみたりもした。しかし、これも医師からすると、がんのせいではなく、ホルモンの変化で乳腺が萎縮し始めたときに出る痛みではないか、ということだった。

とにもかくにも、自分の体にもっと関心を持たないと、メンテナンスができない。「子宮や胃の位置がわかっていない人もいる」というMの嘆きに、自分も怪しいな……とパジャマの上から胃のあたりをさすってみた。

乳がん

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連載「乳がんという『転機』」。筆者は電通 チーフ・ソリューション・ディレクターでForbes JAPANオフィシャルコラムニストの北風祐子さん。

初動から立ち直るまでのブログ的記録。11人に1人が乳がんになる時代、大親友がたまたま医師だったおかげで筆者が知ることができたポイントを、乳がんの不安のある女性たちやその家族に広く共有し、お役に立てていただけたらと考えています。

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文=北風祐子、写真=小田駿一、サムネイルデザイン=高田尚弥

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