テクノロジー

2020.02.16 12:30

テスラに挑む、燃料電池搭載のEVトラック「ニコラ・バッジャー」の実力は?



インパネのイメージ図

もう一つの相違点は、パワーソースだ。ニコラのバッジャーは外部電源から充電したバッテリーだけではなく、水素燃料電池による電気も使って走ることもできる。

つまり、160kWhのリチウムイオン・バッテリーを採用するサイバートラックの最大航続距離が800kmなのに対して、バッジャーの最大航続距離は、120kWhの電気を発生する燃料電池も併用すれば、一気に965kmに伸びる。電欠や航続距離を常に心配する人から見れば、900km以上走ってくれると、文句は言えなくなる。

4WDのモーターの出力は瞬間的に919psを叩き出し、最大トルクはなんと1329Nmと強烈だ。また、このトラックは記録的な航続距離が走れるだけではなく、加速も半端ない。0-96km/hは、サイバートラックと同様の2.9秒だ。

期待高まるEVトラック市場


EVトラック市場はこれから面白くなりそうだ。近年、EVトラックの計画を進めているブランドはテスラとニコラだけではない。GMはハマー・ブランドから出すらしい。また、フォードのトップセラー「F150」の電動仕様車も用意されているし、アメリカのリビアン社とボリンジャー社も計画している。

これで分かったことは、重いトラックにEVパワートレーンだけを載せるのでは、市場が納得するような航続距離を得づらく、水素燃料電池などと組み合わせた方が、理想的な距離を走りきれる、ということだ。また、サイバートラックが、80%まで充電するために20分ぐらいかかるのに対して、バッジャーは水素タンクを満タンにするのに、4分しかかからないというメリットもある。

日本にバッジャーが上陸するか否かはわからないけど、今年9月に開催される某イベントでは、今より具体的な計画が発表されるようだ。ゼロエミッションのピックアップトラックの時代は本当にくるのか?

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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