国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

ニコラ・バッジャー

やはり、アメリカはピックアップ・トラックというかSUVの天国だ。フォードのFシリーズ、ラム・ピックアップ(FCA系)、シボレー・シルバラード(GM系)などの人気車種のセールスを合わせると、年間280万台を超える。これはアメリカの自動車総合販売台数の20%弱を占めている。しかも、販売台数の成長率は15%以上と、年々伸び続けている。

そういった中で、電気自動車(EV)のモーターやバッテリー技術が進歩すればするほど、EVトラックもだんだんと増えてくる。また、航続距離が伸び、EVに優しいインフラが整えば、これまでガソリンエンジン搭載のトラックに乗っていた顧客の目がEVの方に向いてくるはずだ。

昨年の11月に、アメリカで突然登場したEVの代表的なトラック「テスラ・サイバートラック」は一時的に、自動車業界の話題を独占した。ステンレス素材でできた直線的なスタイリングは「子供が描きそうな形」で賛否両論だったけど、航続距離は業界トップレベルで、どんな道でも問題なく走れるほど丈夫だ。しかも手頃な価格でショールームに登場するということで、たった数週間で20万件の受注が入った。

水素EVでテスラに挑戦


一方、米国アリゾナ州に本拠を置くEVスタートアップのニコラ・モーターは、EVトラック「ニコラ・バッジャー」をオンラインで披露し、テスラに挑戦している。サイバートラックに比べれば普通っぽいが、結構格好いい。

ニコラ・モーターは実は、2016年に水素燃料電池が駆動するトラック「ニコラ ONE」と「ニコラ TWO」を発表している。それと同時に全米各地に水素ステーションを設置するプランも提案はしたけど、まだ水素ステーションは1カ所も開業していない。

しかし、バッジャーにはサイバートラックと違う点が2つある。現実にはまだ存在しないことと、そして水素燃料電池を採用していることだ。

もう少し詳しく説明しよう。まず、先週オンラインで発表された同車は、現実には存在しない。写真はリアルに見えるけど、実は立体のコンセプトカーはなく、その全ては空想のCGなのだ。


文=ピーター・ライオン

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