大学進学者の数が過去最高に達していることで、一部の専攻では学位の価値が下がっている。専門的で報酬が高い仕事に必要とされるスキルを持たないリベラルアーツ系大卒者の多くは、自分の能力を十分生かせない仕事をしているか、失業中だ。こうした若者は単発や短期の仕事(ギグ)を基盤としたギグエコノミーで働くか、スターバックスでバリスタとして働くか、大学院に進学してさらに借金を重ねるかの選択を強いられている。
その多くについては、若者自身に責任はない。親や大人たちはどういうわけか、17、18歳の若者が自己破産しても免除されない数十万ドルの借金の契約に署名することを許している。若者は飲酒も喫煙も合法にはできない未熟な年齢なのに、経済力を奪う契約にサインできるのだ。
皮肉なことに、若い世代は将来、思いがけない大金を得るかもしれない。ベビーブーム世代が亡くなると、子どもたちは多額の遺産を相続する。これは米国史上、最大の富の移動になる可能性がある。
ただ、ここには隠れた問題もある。2008年の金融危機のような株式市場の暴落が起きれば、親世代は安値で株を手放し、子どもには微々たる額の資産しか残らないだろう。また、全てのベビーブーム世代が引退に当たって倹約のため家を売り始めたら(多くの人はもう既に売りに出している)、家の価格が崩壊する可能性もある。これもまた、子どもたちに渡る遺産が減る要因となる。
こうした状況を考えれば、バーニー・サンダースの人気が急上昇し、社会主義のアイデアが若者の中で勢いを得つつあるのも意外ではない。