経済・社会

2020.02.15 09:00

サンダースと民主社会主義を支持する米若者世代 その背景とは?

2月4日にニューハンプシャー州ミルフォードで行われたバーニー・サンダースのキャンペーン集会(Photo by Joe Raedle/Getty Images)

2月4日にニューハンプシャー州ミルフォードで行われたバーニー・サンダースのキャンペーン集会(Photo by Joe Raedle/Getty Images)

米大統領選に向けた民主党の候補指名争いでは、バーニー・サンダースが有力候補と目されるようになっている。多くの中年・年配の米国人にとって、サンダースを熱烈に支持する若者の多さは驚きだ。しかし、20代や30代前半の人たちと話せば、そうした人々がサンダースやその民主社会主義政策に大きな関心を寄せていることが浮かび上がる。

学校では、中国やロシア、ベネズエラなどの国に社会主義・共産主義がもたらした弊害についてあまり教えていない。若者にとって、社会主義は抽象的な概念なのだ。現状に鑑み、米国が資本主義から社会主義に転向してもあまり失うものがないと感じている若者は多い。現状や将来の見通しに全く自信が持てないので、可能性に賭け、変化を起こすことに価値を見出しているのだ。

若者は、自分たちが親世代より低い生活水準を強いられる初の世代になるかもしれないことに気付き、恐怖を感じている。どうすれば経済的に独立し、約束されたアメリカンドリームを実現することができるのか、というまっとうな懸念を持っているのだ。

ミレニアル世代やジェネレーションZは、巨額の学生ローンや低賃金、家の購入や賃貸のコストの高騰により大きな影響を受けている。経済的に安心できず将来に自信が持てなければ、結婚や最初の家の購入、子育てなど、大きな義務が伴う決断を先延ばしにするのは当然のことだ。これらは年上世代が当たり前に考えていたことだが、現在では多くの人にとって実現がほぼ不可能な夢となった。

若者が家を買おうとしたら、巨額の頭金と契約手数料を工面しなければならない。家の維持にはさらに、高い固定資産税やローンの金利、家の維持費が必要になる。家具をそろえる必要があり、郊外に住む場合は車も必要だ。多額の学生ローンを抱え、低い給料を受けとる人にとって、これは実現不可能な目標だ。

大都市でアパートを借りようと思ったら、驚くほどの大金が必要になる。敷金、初月の家賃、申込金を全て事前に支払う必要がある。それに携帯電話や保険、車のローン、衣服、食費、ケーブルテレビなどの出費を加えれば、赤字になってしまう。クレジットカードなどで借金をして生活をまかなえば、経済的にはさらに困窮する。

金銭的な余裕がないことで貯蓄はできず、株式投資もできない。一方、高齢化するベビーブーム世代は株式市場から思いがけず得た資金を元手に、投資を行ったり、起業を検討したりしてきた。
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編集=遠藤宗生

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