だが、民主党の大統領候補者をめぐる指名争いに名乗りを上げて以降、ブルームバーグの姿勢には変化がみられる。民主党支持者の中では、圧倒的多数が大麻の合法化を支持しているという事情があるからだ。調査会社「ギャラップ」が2019年10月に発表した世論調査データでは、民主党支持者の76%が大麻の禁止措置の解除を支持しているという。
12月には、ブルームバーグの側近がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、同候補の現在のスタンスについて「大麻について刑罰を科すべきではなく、既に合法化を実施した州については、連邦政府は干渉すべきではないという考えだ」と述べている。
ブルームバーグは、ニューヨーク市長を務めていた時代に、同市の警察当局による「ストップ・アンド・フリスク」と呼ばれる慣行を積極的に擁護していた。これは、警官が通行人を呼び止めて所持品検査を行う行為だが、対象となるのは有色人種が多数を占めており、議論を呼んでいた。この慣行も一因となり、ニューヨーク市では大麻所持による逮捕件数が急増した。
2020年の民主党大統領候補の指名争いでは、ブルームバーグと前副大統領のジョー・バイデンを除くすべての候補が、大麻の合法化を支持している。
候補者の1人、バーニー・サンダース上院議員(無所属、バーモント州選出)は2月1日、アイオワ州での選挙集会で、大統領に当選したあかつきには、「就任したその日に、大統領令を通じて」「この国のすべての州で大麻を合法化する」と公約した。
こちらも民主党候補指名を目指すインディアナ州サウスベンドの元市長、ピート・ブーテジェッジは、自分が大統領に就任した場合、連邦議会が大麻合法化を拒否するなら、自ら大統領専用機のエアフォースワンに乗り込んで「(解禁を)阻む議員の選挙区に直行」し、地元有権者からの圧力を高めるよう働きかけると述べている。