MWCで最新端末をお披露目する予定だったアンドロイドメーカーらは、メディアへの露出機会を失うことになる。アップルは通例では、毎年9月に新型端末をリリースしており、競合メーカーは同時期の新モデルの発表を控える傾向にある。
ベルリンで毎年開催される家電見本市のIFAは、今年は9月4日の開催が予定されているが、大半のアンドロイドメーカーは8月に新製品発表会を行う計画だ。サムスンは8月中旬に新型Galaxy Noteを発表することで、アップルが世間の注目を一挙に集める前に、新製品をアピールするつもりだ。
しかし、アップルが通常の発売スケジュールをあえてずらし、3月にリリースしたのが2016年のiPhone SEだった。従来のiPhoneよりもサイズが小型で安価なSEは、多くの支持を集め、その復活が期待されていた。
アップルはそのSEの後継機種的位置づけのiPhone SE2を、前回と同じ3月にリリースする予定だが、バルセロナのMWCがキャンセルになったことで、その注目度がさらに高まることになりそうだ。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、LGやソニー、インテルやHMD Global、ノキアらが相次いでMWCへの出展をキャンセルした。ファーウェイやOPPOらはその後も、MWCへの出展に意欲を燃やしていたが、2月12日になって事態は急変した。
MWCを主催するGSMAは、安全と衛生環境に配慮してイベントを中止すると発表した。「コロナウイルスの流行や渡航不安といった状況の中で、同イベントを開催することは不可能になった」とGSMAは述べた。
これによって、バルセロナで世界中のメディアの注目を集めるはずだったアップルの競合メーカーらは、その機会を失うことになる。サムスンはMWCの開催に先立ち、既にGalaxy S20とGalaxy Z Flipを発表済みだが、仮にスケジュール通りにMWCが開催されていたなら、バルセロナの会場で世界中のジャーナリストたちにその魅力をアピールできたはずだ。
MWCのキャンセルにより、アンドロイドメーカーらは巨大な露出機会を失った。今後の数週間のうちに各メーカーは個別でイベント開催するだろうが、バルセロナで得られたほどの注目を獲得す事は、非常に難しい。
この状況が、アップルのiPhone SE2の立ち上げの強力な追い風となることは確実だ。