物語は、1917年4月、第一次世界大戦の西部戦線が舞台。連合軍とドイツ軍は膠着状態を続けており、両軍とも一進一退の戦闘を続けていた。イギリス軍の兵士スコフィールドとブレイクは、ドイツ軍を追撃していたマッケンジー大佐の部隊に重要なメッセージを伝える任務を与えられる。
それはドイツ軍が撤退としたと見せかけて、実は要塞を築いてイギリス軍を待ち伏せしているという内容で、翌朝に追討作戦を予定している前線のマッケンジー大佐に知らせなければ、部隊は全滅してしまうおそれがあるのだ。
通信手段が遮断されているため、足でメッセージを届けるスコフィールドとブレイクの2人が、友軍を助ける最後の頼みの綱。2人はドイツ軍が占領していたトラップだらけの塹壕や敵から狙われやすい平坦地を抜け、ブレイクの兄も所属する前線の部隊へと急ぐのだが……。
(c)2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.
作品のほとんどの部分が戦場だ。それが「ワンカット映像」で展開されていく。狭く長く続く塹壕から始まり、やがて視界の広い山野に飛び出し、戦火に見舞われる町へと続く。切れ目なく続くその映像を観ていると、自分もスコフィールドとブレイクの2人の兵士とともに、彼らが突き進む戦場にいるような感覚に襲われる。
途中、戦闘機が、彼らが身を隠す廃屋に向かって墜落してくるシーンがあるが、どのように撮影したのか驚愕する場面だ。しかし、そのシーンさえも途切れることなく、カメラはまわり続けている(ように見える)。とにかく、この映像体験は、臨場感と緊迫感に溢れており、いつのまにか観る者を作品のなかへと引き込んでいく。
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「ワンカット」映画の名作たち
ワンカットと言えば、昨年、製作費300万円の作品ながら大ヒットを飛ばした「カメラを止めるな!」が思い出されるが、あの作品の前半のゾンビ映画のシーンは、おそらくCGや高価な撮影機材は使用していないので、そのまま37分間を長回しで撮っていると思われる。
ワンカットは、古くはアルフレッド・ヒッチコック監督の「ロープ」(1948年)という作品が有名だ。舞台劇の映画化のため、作品はほとんどアパートの一室で展開されるのだが、当時のカメラのフイルムは最長でも10数分しか撮影できなかったため、ヒッチコックはこのサスペンス劇を、カットとカットを巧妙につなぎ合わせて、ワンカットで撮影したかのように仕上げている。