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2020.02.27

前途多難の日本のカジノ、救世主は米国で解禁の「スポーツ賭博」か?

日本では大阪の夢洲がIRの最有力候補地とされている(Getty Images)


ところが、時代も移り世代も入れ替わり、若者たちがスポーツのイベントを純粋な観戦だけでなく、パーティと同じような「仲間と盛り上がるための機会」とするようになる中で、街にもスポーツバーが増え、公正性を失わない限りでスポーツブックをさせるという動きこそが、スポーツのさらなる振興に重要なのではないかと見直されるようになってきた。

そんな機運のなかで、スポーツ界で最初にラスベガスにチームを持ってきたのが、アメリカのプロホッケーリーグであるナショナル・ホッケーリーグ(NHL)で、2018年にカジノの首都と言われるこの街に初めてホッケーチームの新設を許可した。

そして、カジノの街にメジャーリーグのチームを持ってくることが公正性上なんの懸念にもつながらず、そもそもこれだけネットでつながっている時代に、スポーツのスタジアムとカジノが近くにあることを問題にしても何の意味もないことに人々が気づくと、今度は、アメリカンフットボールのオークランド・レイダーズもラスベガスに引っ越してくることになった。

去年、NHLのゲーリー・ベットマン会長は、カジノ業界のコンベンションにおいてスピーチを行い、スポーツブックによって、今までホッケーに興味のなかった人まで、NHLのファンとして獲得できると訴え、ますますスポーツとカジノの距離は加速して縮まっていきそう気配だ。

しかも、単なるファンを獲得するという効果だけではない。NHLは数十億円をかけてつくったデータシステムを持っており、ここで毎年数億円をかけてプレーヤーのデータを整備している。このデータをカジノに提供することによって、カジノの客がそのデータをもとに、自分なりの細かい分析をして、チームの勝敗や選手の得点などに賭けるというトレンドもつくっている。

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ラスベガス初のプロスポーツチーム、ベガス・ゴールデンナイツ

いまや、スポーツブックは、試合を観戦するだけではなく、自分がどこまでチームや選手を分析して勝負(賭け)をするかという参加型のゲームになりつつある。ちなみに、このシステムは毎秒200ものデータが取得されるという大容量であり、NHLは近い将来、このデーター使用料をカジノからもらうことでますます売上を伸ばし、野球やフットボールと凌ぎを削っていきたいという考えだ。
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文=長野 慶太

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