ビジネス

2020.02.27

前途多難の日本のカジノ、救世主は米国で解禁の「スポーツ賭博」か?

日本では大阪の夢洲がIRの最有力候補地とされている(Getty Images)


過去にもこのコラムで紹介しているように、世界のスロットマシーンの売上は横ばいであり、スロットマシーンを大型モニター化したり、映画のキャラクターをライセンス契約して使用したりと工夫をしているが、基本的に伝統的なスロットマシンやテーブルゲームでの売り上げ増加は、世界的にカジノが供給過多になった昨今、難しい。

これからは、ますます若い世代をパーティやショーや飲食などで引っ張ってくる経営努力なしにカジノの将来はないが、もし他のリゾートができなくてカジノリゾートができることがあるとすると、それがスポーツブックであり、今後もカジノ業界とスポーツ界と消費者間の熱い盛り上がりが期待される。

多くの専門家が指摘しているように、日本のカジノ計画は今のままでは成功が難しい。もし、そこに秘策があるとすれば、最新のトレンドであるスポーツブックをいち早く取り入れることではないだろうか。

例えば、去年のラグビーワールドカップは都心のスポーツバーが連日満席だったと聞くが、巨大なテレビモニターをたくさん備え付けた広大なスポーツブック・ルームをカジノ内につくり、そこで健全に賭けをさせたら、IR上の大きな収益効果となるであろう。

しかし、それを実現するには、公正性の担保と、中毒症対策において、市民の一段高い理解が必要となる。技術的には、日本のIT企業であるテックファーム社がラスベガスの子会社で開発しているような、顔認証システムによる中毒者やイカサマ師に対してゲームをさせないシステムガードなどの技術でかなりの問題が解決される。

大事なことは、本当に、今、本気で集客の対策を打たなければ、誰も日本のカジノに来ないという危機感だ。もちろん、もし本当に立法府である国会議員が、カジノ導入をめぐって賄賂を受けたという事件が有罪となるならば、それは世界のカジノスタンダードからして著しく劣り、時代錯誤なること甚だしく、この国はカジノ設立を永久に諦めたほうがよいと考える。

連載:ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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文=長野 慶太

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