ビジネス

2020.02.13

利便性とサステナビリティ、「翌日配送」が消費者に問う課題

Photo by Hyoung Chang / Getty Images


また、オンラインメディアのVoxは19年10月、アマゾンでは5ドル(約550円)未満の商品も翌日配送してもらえると伝えている。ワシントン大学教授(土木環境工学)のアン・グッドチャイルドはVoxに対し、「配送スピードが速くなるほど、商品をまとめて発送するのは難しくなる。客は何らかの形で自ら輸送料を負担するようになっていないと、輸送が増えることに無頓着になりやすいのではないか」と語っている。

アマゾンは19年2月、ユーザーが配送してほしい曜日をあらかじめ指定しておけば、1週間分の注文をその曜日にまとめて届けてもらえる「Amazon Day」というサービスも米国内で始めた。配送物の盗難を減らしたり、まとめて発送したりできるメリットがあるとされるが、ユーザーのツイッターへの投稿によれば、届く日は同じでも、商品ごとに別々に発送していることもあるようだ。

配送時間の短縮は、環境への負荷だけでなく人間の負担にもなりかねない。とりわけアマゾンの場合、倉庫のフルフィルメントや、最終物流拠点から顧客までの「ラストマイル」に携わる従業員や請負業者への要求を巡り、ここ数年強い批判を浴びてきた経緯がある。

とはいえ、アマゾンにしろウォルマートにしろ、自分勝手に決定しているわけではない。翌々日配送から翌日配送への切り替えには巨額の投資が必要であり、それを正当化するためには、消費者が翌日配送を求めていることが幹部らに明らかになっていなくてはならないはずだ。

ただ、どういったユーザー層が翌日配送を利用しているのかは分からない。持続可能性志向だと言っている若い世代の人たちは、日々の買い物でもそうなのだろうか。

いずれにせよ、今後どうなるかは買い物客にかかっている。消費者が口だけでなく実際に行動しなければ、段ボール箱も配送トラックも増える結果になるだろう。そして私たちは、今日の決定が長期的に環境に及ぼす影響への対処を迫られることになるだろう。

編集=江戸伸禎

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