1日50分の練習だけでプロ野球選手に。進学校が取り組むデータスポーツ革命

SAJ2020でプレゼンする岡田武史代表


FC今治は、元日本代表監督の岡田武史氏が代表を務めるサッカークラブ。FC今治では、デロイト トーマツ グループとともに観戦体験調査を行い、その調査内容を岡田代表も同席してSAJ2020のセッションで発表した。以下はその内容だ。

スポーツ観戦は、スタジアムで試合を観戦することだけでなく、その試合の情報を得た瞬間から、チケット購入、会場移動、試合観戦後における友人との食事やSNSなどでの情報発信と閲覧、そして翌日のニュースで記事を見るところまで続く。このカスタマーエクスペリエンス(CX)の調査をデロイト トーマツ グループがまずグローバルで行い、昨年6月に発表した。今回はその調査のFC今治版となる。

昨年のグローバル調査から日本とアメリカ、ドイツによるグローバル調査の比較を見てみよう。これは観戦体験全体の中での推奨度(スタジアムでの観戦を知人や友人にどれくらいの度合いで勧めるか)を集計したものだ。

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画像:global data 出典:「スポーツ観戦体験グローバル調査レポート サッカー編」デロイト トーマツ コンサルティング合同会社(2019年6月)

面白いのは、赤い点線枠の「試合の観戦」だ。日本とドイツは「試合の観戦」を推奨度100としているのに対して、アメリカは「試合観戦以外」の体験が高い推奨度をたたき出す。また、日本とドイツで比較すると、日本は「試合のみ」が突出しているのに対して、ドイツでは観戦体験のフローで複数の波を築いている。

ここから見えてくるのは、サッカーがまだ主流でないアメリカでは、試合そのものよりも、前後の情報収集やファン同士の交流を楽しみ、サッカー大国ドイツは試合だけでなく、その前後の体験までも楽しんでいることだ。それに比べ日本は試合のみを楽しみとしている。

FC今治での調査結果はどうだろうか? 以下は、FC今治とデロイト トーマツ グループによる3回にわたる調査のうち、3回目の調査データだ。

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画像:research3 出典:デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

グローバル調査の日本と同じように、試合内容のみが突出する結果が出ている。この試合は2019年11月3日の試合で、FC今治がJ3昇格に向けた大詰めでの快勝だったこともあった。試合の成否が全てのタイミングともいえる。それでは、試合の勝敗がさほどまだ気にならない開幕のタイミングではどうだろうか?

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画像:research1 出典:デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

2019年4月28日の1回目のこの調査データでは、イベント会場での体験や試合後のファンサービス、帰宅後の情報収集などの体験が影響を与えていることがわかる。試合結果が気にならない時、FC今治はドイツと近い波形を示すことが見えてくる。
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文=中村祐介 写真=坂脇卓也

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