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マーケティング感性を磨いて時代を読む


プロダクトのクオリティの高さは、「ギャル」の間でも定評があったという。メイク技術に圧倒的な信頼を集めていた益若つばさは、「つけまつげは絶対にコージー本舗!」という確信からプロデューサーに就任した。今でこそ珍しくなくなったモデルプロデュース商品だが、DOLLY WINKは2009年当時、初めてブレイクしたモデルプロデュースブランドの走りでもあった。



このような「原点」を踏まえて、ブランドの本質的価値を緻密に再規定していった。そしてDOLLY WINKのアイデンティティであり、コージー本舗と益若つばさの技術がつまった「つけまつげ」を皮切りにリブランディングを開始する戦略を策定した。「つけまつげの再ブーム化」に挑むことにしたのだ。

市場を再構築するために、ターゲットはボリュームゾーンである「つけまつげ離脱 or 未経験」のノンユーザーに定めた。



安易に流行りものに乗ろうとしてはいけない。まず原点に立ち返って、ブランドの成長の源泉である「本質的価値」を見極めたときに、正しい戦略が見えるのだ。

「原点」はどんな企業やブランドでも独自に持っている「歴史」の中にある。まず企業の歴史と、ブランドの成り立ちを調べることが有効だ。ホームページの企業沿革に載っていないエピソードが「本質的価値」を掘り下げるヒントになることも多いので、縁の人に話を聞きにいったり、記事を調べたりしながら、年表を整理してみることも役に立つだろう。

アップデートだけではダメな理由


2つ目の罠は、「アップデートだけで済ませてしまう」だ。これまでだって市場が衰退していくのを、指をくわえて見ていたわけではないのだ。時代に合わせてアップデートする努力をしたし、新商品も発売してきた。

しかし、実際には多くの女性にとって市場に出ている「つけまつげ」は、ブームだった10年前からほぼ進化していないように見えていた。パッケージもほぼ同じようなものばかりに見えるから、手に取りづらかった。

つまり、完全に時代が新しくなってしまうと、更新するだけのいわゆる「アップデート」ではどうにもならないのだ。必要なのは抜本的に作り変える「リデザイン」だ。そこでコージー本舗は、リブランディングをするにあたって、まずつけまつげの全てを時代に合わせて「リデザイン」し、抜本的に作り直すことを決意した。

ターゲットである令和女子は、マツエクをつけるし、マスカラも使う。つまり、「まつげメイク」への需要は変わらずあるということが分かる。需要があるにもかかわらず、つけまつげの使用を阻む3つのイメージは、「難しく時間がかかりそう / 派手、ギャルのもの / 選びにくい」。抜本的に作り直すにあたっては、この3つを完全に払拭していく必要があった。

文=阿佐見綾香

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