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マーケティング感性を磨いて時代を読む


「つけまつげの売上拡大はもう限界だ」と考えたコージー本舗は、10周年を期に、つけまつげをきっぱり諦め、注力商材を市場規模6倍のアイライナーに変更してリブランディングし、売上を回復させることを検討していた。

そんな苦しい状況から一転。2019年年末、DOLLY WINKの「つけまつげ」の売上がV字回復。化粧品業界では、全国のバラエティショップでDOLLY WINKの新商品が「バカ売れ」しているという情報が駆け巡った。

このV字回復の理由が、今回冒頭で紹介した、企業が陥りやすい3つの罠にはまらなかったからだ。何をしたのか、一つずつ見ていきたい。

流行りに乗ってはいけない理由


1つ目の罠は、「流行りものに乗ってしまう」だ。注力商品を「アイライナー」にシフトさせるべきではと検討し始めた際に、コージー本舗はすぐに立ち止まった。「本当に、アイライナーから取り組む計画で進めるべきなのか?」と。

なぜなら、リブランディングに向けて新しい戦略を考える時、やみくもに流行りものに乗っかろうとすると、うまくいかない場合が多くあるからだ。その最大の理由は、「その企業・ブランドが取り組む理由がない」から。

自分たちはどんな理由で、アイライナーから取り組むのか? その理由が安易に「市場が伸びているから」「流行っているから」だけだとしたら、ブランドの再生は厳しいのではないか。

そのことに気がついたコージー本舗は、まずDOLLY WINKの「原点」を見つめ直して、ブランドの本質的価値を発見し、その本質的価値から「何にチャレンジするべきか」を見極める必要があると考えた。

DOLLY WINKの原点。それは、1947年にコージー本舗が日本ではじめて発売したつけまつげだ。当時、浅草の踊り子さんが自分の髪の毛を切ってひとつひとつ手作りしていたつけまつげを参考に「特製コージー附マツ毛第1号」が作られた。



コージー本舗は、2009年のギャルのブームに乗っかってつけまつげを作り始めたわけではなかったのだ。戦後間もない時代からつけまつげを作り続け、1960年代にはツイッギーやミニスカートなどの欧米ファッションブームとともに、つけまつげを国内外へ浸透させたこともあった。日本発のアイメイクのトレンドセッターであり続けた歴史を持ち、つけまつげへのこだわりとプライドをかけてミリ単位で作りこんだ商品の品質は圧倒的で、他社に追随を許さないものであった。

文=阿佐見綾香

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