ビジネス

2020.02.24

「生ゴミから生み出した洗剤」で暮らしを変える女性起業家

Photo by Judith Maria Haakshorst / EyeEm / Getty Images

アマンダ・ウィークスは事業プランを最初に投資家に話した時、「このアイデアはではベンチャーキャピタルからの資金調達は難しい」と告げられた。

「家庭から排出される生ゴミや汚水から有用な成分を抽出し、洗剤として再利用するというビジネスモデルは、金融業界で働く男性たちの理解を超えていた」とウィークスは話す。しかし、彼女はあきらめず、時間をかけてこのビジネスの魅力を訴え続けた結果、400万ドルを超える資金調達に成功した。

彼女は共同創業者のBrett Van Aalsburgと共に「Ambrosia」を設立し、6年間を注いで開発した製品をようやく市場に送り出そうとしている。同社初のプロダクトVelesは、どんな用途にも使える家庭用のスプレー式クリーナーだ。

家庭から排出される生ゴミや汚水は処理コストが高いのが難点だ。「世界では一年間に13億トンの生ゴミが排出されており、汚水の量は年間45兆ガロンにも達しているとのデータもある」とウィークスは述べる。

ウィークスは食品廃棄物と家庭からの汚水をフィルタリング処理するシステムを開発し、そこから洗剤を生み出す仕組みを整えた。Ambrosiaの洗剤、Velesはアルミ製のボトル入りで、1瓶20ドルで販売されている。

洗剤にはプラスチック製ボトルを用いるのが一般的だが、ウィークスはあえてアルミ製ボトルにこだわった。「環境に優しいプロダクトを売るためにプラスチック製ボトルを使うのは矛盾している。ペットボトルのリサイクルを呼びかける企業は多いが、実際のところ再利用されるボトルはごくわずかだ」と彼女は話す。

ウィークスによると、家庭用の液体洗剤の原料の90%が水だという。彼女が立ち上げたAmbrosiaは今後、洗剤だけでなく様々なプロダクトを家庭からの生ゴミや排水を再利用して生み出そうとしている。同社のプロダクトは現状では全て、ウィークスらが暮らすニューヨーク周辺で製造されている。

Ambrosiaのビジネスモデルは米国の各地で再現可能だという。今後は地域ごとの生ゴミや汚水の処理プロセスに適合する形で、事業をスケールさせることも視野に入れている。

全米で使用される洗剤の原料の多くを、再利用で賄うことができれば、巨大な量の水が節約でき、環境に与えるインパクトを抑えられることになる。

「消費者の間では、食品廃棄物や汚水の再利用への関心が高まっている。私がこのビジネスを立ち上げた、5年前には考えられなかった規模の市場が生まれようとしている。Ambrosiaのような企業には今、追い風が吹いている」とウィークスは話した。

編集=上田裕資

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