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2020.02.12

新型コロナウイルス、外食大手に痛手 スタバの中国出店攻勢にも水

Costfoto/Barcroft Media via Getty Images

新型コロナウイルスの感染拡大は、中国で出店する外資系の外食大手にも打撃を与えている。ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)などを展開するヤム・チャイナは店舗の3割を休業させ、マクドナルドも湖北省の全店を閉鎖。特にスターバックスは2000店余りの閉鎖を余儀なくされ、中国での出店攻勢に水を差しかねない状況だ。終息のめどが立たないなか、各社とも2020年の業績見通しの見直しを迫られている。

ヤム・チャイナは店舗を3割閉鎖した結果、本来なら稼ぎ時である春節期間の既存店売上高が40〜50%落ち込んだ。同社は新型コロナウイルスによって、20年度第1四半期と20年通期の営業利益などに「重大な悪影響」が及ぶ可能性があるとしている。

最高経営責任者(CEO)のジョイ・ワットは新型コロナウイルスに関して「当社は従業員と顧客の健康と安全を最優先に考えており、従業員と顧客を守るために店舗や職場でさまざまな予防措置を講じている」と説明している。そうした予防措置には、配達員と顧客が接触しない形での商品の受け渡しなどが含まれる。

ヤム・チャイナは、閉鎖した店舗をいつ再開するのか、また今後さらに閉鎖するのかについての見通しは示していない。現時点では、ウイルスを封じ込められるかどうか分かっていないからだ。

ヤム・チャイナは、米ヤム・ブランズが16年に分離した中国事業で、中国でKFCや「ピザハット」など計9000店舗余りを展開している。ヤム・ブランズも世界で4万9000店超を運営し、またヤム・チャイナからライセンス料を徴収している以上、今回のウイルス流行とは無縁ではいられない。

一方、ファストフード最大手、米マクドナルドCEOのクリス・ケンプチンスキーが19年度第4四半期の決算発表で述べたところによると、湖北省で閉鎖した店舗は「数百店」規模に上る。中国国内のほかの3000店舗は営業を続けている。

ケンプチンスキーは従業員と顧客の安全とケアを確実にすると約束すると同時に、中国はマクドナルドにとって非常に重要な戦略的市場だとも強調した。ただ、全世界の店舗数や収益に占める中国の割合は小さいので、新型コロナウイルスによる同社への影響は軽微との見通しも示している。
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編集=江戸伸禎

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