スターバックスに試練
これに対して、コーヒーチェーン大手の米スターバックスは中国市場の比重が比較的大きい。同社は中国で19年に店舗数を前年比16%増やすなど積極的な出店を続けており、20年度第1四半期の中国売上高は15%増えている。
最高財務責任者(CFO)のパトリック・グリズマーは決算発表で、新型コロナウイルスの感染拡大という「中国で急速に進んでいる異例の事態」のために、当初引き上げるつもりだった20年通期見通しの一部を据え置いていると明かした。
金融サービス企業BTIGのアナリスト、ピーター・サレは「ヤフー・ファイナンス」に対し、スターバックスは中国での成長軌道からすると、グローバルな外食企業のなかではおそらく新型コロナウイルスの影響を最も受けやすいと指摘している。また、スターバックス、マクドナルド、ヤム・ブランズはウイルスの影響で営業利益が「1桁台前半から半ば」パーセント減ると予想している。
新型コロナウイルスの流行は、中国で飲食店に閉鎖を強いるだけでなく、人々に外食自体を避けさせてもいる。これもまた、外食企業の中国での出店の勢いを鈍らせるとみられる。
スターバックスのグリズマーは新型コロナウイルスの流行前の昨年12月、中国の店舗を4125店からさらに約600店増やすことを目指し、15時間に1店のペースで新規出店していくと述べていた。だが今回の事態を受けて、目標の達成は計画よりも遅れる可能性が高い。
02~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)では、世界経済に400億ドル(現在の為替レートで約4兆4000億円)の損失が出たとされる。それ以降のグローバリゼーションの加速や発展、人口の増加などを考えると、新型コロナウイルスによる経済損失はそれをさらに上回りそうだ。
中国のファストフード市場がいつ勢いを取り戻すかは時間がたてば分かるだろう。同市場は14〜19年に年平均8.9%の成長を遂げている。これに対して、米ファストフード市場の13〜18年の年平均成長率は3.9%にとどまっている。