聞く力を上げるために断つべき3つの言葉

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会話が自分の方に転換したことを示す重要なサインは、「私」などの一人称代名詞の使用だ。その瞬間に集中し、友人に関心を向けていれば、自分自身の状況について考え始める精神的な余裕はないはずだ。自分が似たような状況に置かれた過去の経験について考え始めていることに気づいたら、それはあなたがその瞬間に完全に集中せず、友人の話を聞いていないことを確実に示している。

2. 「心配しないで、なんとかなるよ」


これほど明白に共感性に欠けるものはない。これは基本的に「長い時間がたてばそのことについて何も感じなくなるので、私と視点を共有する必要はない」と言うようなものだ。

私はかつて、共感性のある言葉を練習する精神科研修医のトレーニングを見学した。研修医らは、つい最近子どもを亡くした架空の母親に対し、共感を伝える言葉をかけるよう指示された。私はある研修医が、母親を演じている俳優を見て「心配しないで。今は悔やまれるかもしれないが、やがて忘れることができる」と述べたことを非常にはっきりと覚えている。私と同じであれば、あなたもおそらくこの答えを聞いて、背中に寒気が走ったことだろう。

3. 「もしかしたら、不幸中の幸いかもしれないよ」


自分が一因となって困難な状況に発展した場合、この言葉は責任逃れのための素晴らしい正当化の手段となる。基本的にこの言葉が示すのは「私は先週の会議であなたを裏切ったけれど、私としてはあなた側の言い分を聞きたくないので、ただこのことを前向きに捉えてほしい。これを良いこととして見ることができるようになれば、あなたが文句をたれるのを聞かないで済むだろう」という考えだ。

またこの言葉にはもう一つの意味もあり、その裏にあるのは善意だ。友人から、来月も仕事があるかどうか分からず心配だと言われたら、あなたも相手のことを思ってとても不安になるかもしれない。前を向き、転職に備えて履歴書に磨きをかけられるよう、相手を支援したいと思うかもしれない。友人が神経質になったり怖がったりしなくてもよいよう、こうした感情を早く克服する手助けをしたいと考えているのだ。

しかしここでの問題として、相手は問題解決モードに入る準備ができていないかもしれない。この時点では、自分の考えや感情を聞いてくれる共感性を求めているだけの可能性もある。自分が友人のことを不安に思っているからといって、この状況をより前向きに捉えるよう求めてもよいというわけではない。今の私たちの仕事はただ聞くことなのだ。問題解決の準備ができたら、相手はそのことを教えてくれるだろう。

素晴らしいリスニングのスキルをつけるには時間がかかるが、多くの人が使う一般的な言葉の使用をやめることで、私たちはより共感的になり、その瞬間に集中するよう自分自身に強いることができる。そうすれば、聞くスキルは何年も練習することなしに根本から改善するだろう。

翻訳・編集=出田静

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