・モラル・ハザード:将来学生ローンを借り入れる人々が、債務免除を期待して、これまでよりも多い額を借り入れる可能性がある。
・学生ローンの債務残高が増える:将来の債務者たちが学生ローン債務を免除されない場合、それらの債務者は、今の債務者以上に、多くの学生ローン債務を抱えることになる。
・収益が減る:連邦政府学生ローンの返済が免除され(さらに、対応する税控除が認められない場合)、連邦政府は元金と金利、手数料あわせて850億ドルを失うことになる。
・裕福な債務者が得をする:全ての債務者が学生ローンの借金返済を免除されることになると(サンダース案)、「学生ローンの債務を(免除なしで)完済できたはずの債務者」が返済を行わないことになり、免除によって可能になるはずの経済的メリットが限定される。
債務免除の経済的メリットは、どれだけの学生ローン債務が免除されるのか、最終的に誰がその分を支払うのか、免除によって失われた学生ローンの収益分を埋め合わせるものはあるのか、学生ローン債務を免除された債務者が、その後どのようにカネを使うのかなど、複数の要因によって決まる。そうした経済的メリットの全体像については、誰も予想できない。
ほかにも疑問はある。住宅ローンやクレジットカード、自動車ローンの債務を全て帳消しにした場合、学生ローン債務の帳消しと比べて、その経済的な影響は異なるのだろうか? 既に学生ローン債務を完済した人々は、その分を返金して貰えるのか? 未来の債務者たちも、学生ローンの免除対象になるのだろうか? 財源を賄うのに、増税以外の方法はあるのだろうか?