仕事の機会を得るための阻害要因は「年齢」が1位に
「どのような仕事を求めますか?」という質問に対して、世界平均では、「ワークライフバランスが優れている仕事」および「自分の大好きなことができる仕事」が同率1位で全体の4割を占める結果に。
また、「家族や友達と充実した時間を過ごす」や「身体や精神をアクティブに維持する」も上位にランクインするなど、世界的にワークライフバランスが重要視されている。
その一方で、日本は「好きなことができる仕事」は5位にとどまっていることに対し、村上は「これは今の仕事が好きじゃない、と言っているような結果で、多くの人が好きを仕事にすることを理想にも掲げていないのか、諦めてしまっている。そのため関心すら持たれていないのではないか」と語った。
ちなみにリンクトインが、仕事の機会を得るための阻害要因となっているものを調査したところ、世界の「財政的状況」に対し、日本では「年齢」が1位となった。
「これは、39歳以上の中高齢世代が平均を大きく押し上げていることが要因だと思います。高齢化した職場環境の中で年功序列や終身雇用制度から抜けだせないことに対する不安や、安定した仕事を求めている結果だと考えられます。逆に「失敗に対する恐れと自信のなさ」は日本の38歳以下の若い世代に顕著であり、社会経験の少なさと自己肯定感の低さからくる将来への不安を強く持っていることが伺るのではないでしょうか」
日本人女性が感じる阻害要因としては、「家事とサポート不足」が16%にのぼっており、男性(7%)との意識の違いが大きく、女性が仕事をするためのサポートが社会的にも根付いていないことも読み取れる結果となっている。
まずは「自分と向き合う」ことが大切
今回の意識調査の結果を踏まえ、リンクトインは今後何をしていくのか。村上はその思いを、つぎのように語った。
「この結果を見ていると受動的と言いますか、自ら何かをするよりは運を求めたり、社会、会社に自分のキャリアを預けたりしている。僕がリンクトインを通して、日本に届けたい価値は『多くの人が当事者意識を持ってキャリアについて考えるサポートをしたい』ということです。リンクトインのプロフィールを通じて似たような業界、職種の人のプロフィールを見て比較したり、LinkedInラーニングを使ってスキルを高めていったりすることで自分と向き合い、今後のキャリアを見定める。
その中には転職する道もあるでしょうし、現業で頑張る道もあると思います。自分の現在地が分からないことにはキャリアもつくれない。この意識調査の結果をきっかけに、ひとりでも向き合う人が増えたらいいな、と思います。最下位ということは、ここから上がっていくしかないわけです。最下位であることをネガティブに捉えすぎず、ポジティブに捉えてもらえたら嬉しく思います。
リンクトインは転職の機会も提供しますが、プロフェッショナルコミュニティとしての機能や場づくりも心がけている。ユーザーはポジティブな人が多く、ニュースを起点に議論やロールモデルを探したり、インスパイアされたりすることを求めて活動している人が多い。リンクトインを使う人が増え、来年以降、この調査結果の日本のランクがひとつでも上がればいいな、と思っています」