ビジネス

2020.02.13

現役アメフト選手で起業家。「週4社長」が切り拓く、新たなアスリート像

Revive CEOの前田眞郷


日本でも、こういった現役アスリートのパラレルキャリアがまったく存在しないわけではない。2016年には、長友佑都氏がヘルスケアサービスを展開するCuore(クオーレ)を設立。最近では、本田圭佑氏が俳優のウィル・スミス氏と共に投資ファンド「Dreamers Fund(ドリーマーズ・ファンド)」を設立し、大きな話題となった。

しかし、こうした競技外での活動に対し、否定的な声が多いのが日本の現状だ。

「長友さんや本田さんの挑戦に対しても、『競技に集中しろ』という声は少なからずありました。しかし、選手たちがこうした声に左右されてしまうと、批判を恐れ、チャレンジに踏み切れなくなってしまう。長友さんや本田さんのように、競技に留まらない価値を作り出す手助けをしていきたいと思ったのが、Reviveを設立した一番の動機ですね」(前田)

アスリート「個人」のファンになるコミュニティ作り


では、選手の新たなチャレンジを後押しする手助けとはどのようなものなのか。前田氏はそのひとつとして「家族のような、常に前向きな声をかけてくれるコミュニティの存在」だと指摘する。



「いまではSNSでファンとの接点を持つことができますが、結果が出なかったり、競技と関係のない挑戦を表明すると、心無い批判が飛んでくることがあります。アスリートが自分の価値観を信じ、実現したい世界に向かってアクションを起こすためには、安心して悩みや理想を口にできるコミュニティが必要なんです」(前田)

そうした課題感から完成したのが、Reviveが提供するコミュニティサービス「vibes.」だ。「vibes.」はアスリートとファンが、グループチャットや限定ライブ配信、ときには1対1のビデオ通話という、濃密なコミュニケーションを可能とするコミュニティサービスだ。距離が近い分、入会できるのは数名の「コアファン」のみというルールを設置した。

「ファンはアスリートの素顔やパーソナリティを知り、より近くから応援できる。アスリートは安心して日頃の悩みや将来のビジョンを語ることができ、新たなチャレンジへの背中を押してもらえる。

アスリートが素顔を見せることで、ファンの人々びとが競技者としてではなく、“個人”のファンになってもらい、引退後のセカンドキャリアでも応援し続けられるような関係づくりをしていければと思っています」(前田)

前田氏自身が、「新しいアスリート」の体現者


2018年8月に創業したReviveは、2019年6月にジャフコ、アカツキらを引受先に1億2000万円の資金調達を実施。調達した資金をもとに、「アスリートの価値」を社会に還流するために、vibes.を皮切りにさまざまなサービスをリリースしていく予定だ。
次ページ > 起業することで得た「俯瞰」の視点

文=半蔵門太郎 写真=小田駿一

ForbesBrandVoice

人気記事