ビジネス

2020.02.13

シャネル No.5の調香師を唸らせた、香りの配信サービス

Scenteeの丹下大


Scenteeの可能性


インタビューした2019年8月時点、Scentee Machinaはサービスを開始してから3ヶ月で300台を販売していた。ローンチ時のクラウドファンディングで20ヶ国でのニーズを確認できているので、1カ国あたり1000台で2万台を販売可能だ。一度、ディフューザー本体を買ってもらえば、あとはカートリッジの交換で継続的な売上を創出できる。1カ月で1本カートリッジを交換してもらえれば、将来的にはデバイスの無料配布も可能になる。

そしてScentee Machinaは誰がどのタイミングでどの香りをどれくらい噴霧したかがリアルタイムでわかる。そうして集めた数万人のデータはエンドユーザーのニーズそのもの。香料メーカにとってダイレクトマーケティングのための貴重な資源となる。4本のカートリッジのうち1つを企業のマーケティングに活用してもらうといったこともあるかもしれない。

香りは普段意識することは少ないが、人間の意識や気分にダイレクトに働きかける強さを持つ。個人のリビングやベッドルームだけでなく、ホテルやデパートなどのサービス業から、オフィス、交通機関、介護の現場まで、香りの体験によって付加価値を上げられる業界は多い。

今後、様々なシーンで香りのデザインが当たり前になったとき、香りの体験と連動させることで私達の生活をどうアップグレードできるか考えてみると、新しいビジネスの機会をそこかしこに感じる。

連載:ゼロイチの創り方を考える
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文・写真=入澤諒

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