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Andrey Burmakin / shutterstock.com

ロイターが世界初のAI(人工知能)を活用した、スポーツニュース司会者のプロトタイプを発表した。

このシステムは、ロンドン本拠のAIスタートアップSynthesiaと共同開発されたもので、事前に録画されたニュース司会者の映像と、最新のデータを組み合わせ、AIニュースキャスターが最新情報をレポートするものだ。

これは議論を呼ぶディープフェイク動画と類似した仕組みだが、ロイターはこのシステムが英国のサッカープレミアリーグの最新情報を、ニュースとして読み上げることを可能にした。

ロイターのニュースプロダクト部門主任のNick Cohenによると、同社はまず、アルゴリズムを用いて実際の試合内容を即座に読み上げる機能を実現したという。「これにより、どの試合においてもニュースのスクリプトを自動生成可能になる」とCohenは話した。

ロイターは既に、サッカーやその他のスポーツの結果を、文字ベースのニュースにする自動化システムを開発している。しかし、Synthesiaのシステムは司会者の動画と最新ニュースを組み合わせることを可能にした。

これにより、有名ニュースキャスターの動画を用いた最新ニュースのオンエアが可能になる。サッカー以外のあらゆるスポーツに対応可能で、試合速報だけでなく、試合中のプレイ内容を解説することもできる。

デモ版で実験を行ったところ、ほとんどの視聴者は本物のニュースキャスターと見分けがつかなかったという。Synthesiaの共同創業者でCEOのVictor Riparbelliによると、システムの学習にあたっては、ニュースキャスターの映像をAIが取り込み、デジタル版のコピーを作成したという。

類似したシステムはハリウッド映画でも用いられているが、映画の場合は数カ月をかけてバーチャルキャラクターに演技をさせるのに対し、ロイターのシステムはその場でニュースを読み上げるという。

Synthesiaは学習プロセスにマシンラーニングを採用することで、ごくわずかな時間でニュースキャスターが原稿を読み上げることを可能にした。

このシステムを用いれば、人間のニュースキャスターには不可能なレポートが可能になる。特定のキャスターが英国や欧州の全てのサッカーの試合の中継を行うことも可能になる。

ロイターによると、このシステムは現状では試作品段階で、利用対象はサッカーの試合のみという。「今後は利用できる範囲を拡大し、ロイターが配信するリアルタイムの映像やデータを活用して新たなニュース報道を生み出していく」とRiparbelliは話した。

AIが人間を模倣するディープフェイクに関しては、嫌悪感を示す人々も居るが、ロイターのシステムは事実のみを伝えるもので、そのような反発も避けられる。Riparbelliによると、彼らが生み出したシステムは人間のニュース司会者を補完する役割を果たすことになるという。

この仕組みを用いれば、現在は存在しないオンデマンドのニュース配信が可能になるかもしれない。個人の興味や関心に合わせ、パーソナライズされたニュースを届けることが可能になるのだ。ロイターとSynthesiaが生み出したシステムは、デジタルジャーナリズムの新時代をもたらすかもしれない。

編集=上田裕資

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