『心を揺さぶる曼陀羅ぬりえ』は、田内の線描作品の1つ1つに、ドリアン助川氏の「つぶやき」を添えたものだ。本書よりドリアン氏の言葉の数々を紹介しながら、「混線の魔術師」田内の線描作品(「ぬりえ」)のいくつかを転載しよう。
ドリアン助川氏によれば、ぬりえは「つくり手と受け手との共同作業」であり、田内も「物の見方は目が動くことや、手を動かすことによって変わる」という。
複雑にもつれているようで実は精緻な計算のうえに書かれた「混線」を1本1本たどることで、長く整わなかった気持ちの乱れや、入り組んでいるように見えた日々の諸問題が、思わぬ糸口を晒し、ほぐれてくることがあるかもしれない。
「急行列車の止まらない街にもおいしいパン屋さんはあるんだよ。」
「世界は、あなたが愛するものとあなたを愛するものの間から産まれてくる。」
「あなたが吸い込んでいるのは空気と希望です。」
「煮物に味がしみわたるのは火を止めてからです。」
「押してもだめなら押し倒してみることです。」
君のせいじゃないよ、地軸がずれたんだ。
『心を揺さぶる曼陀羅ぬりえ』(2015年、猿江商會刊)
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