丸味を帯びたグラスに鼻を沈め、そのアロマを嗅ぎ取る。リンゴ、オレンジ、ジャスミンのような花、シナモン、チョコレート……部屋の暖気によって、そのアロマは花開き、ゆるやかにたゆとう。そっと唇に乗せると、そのテクスチャーはベルベットのようになめらかに喉を撫でていき、長い余韻がふわりと口中に漂う。レミーマルタンXOというコニャックを楽しむなら、そのゆったりとした時間そのものを楽しまねばならない。ゆえに、贅沢なものだ。
その魅力を堪能するためには少し製法についても知識を持っていたい。まずコニャックとは、フランスにある同名のエリア、コニャック地方のアロマティックなブドウを使用し、法に定められた厳正な基準を満たした方法で醸造・蒸留・熟成したものだけがコニャックと名乗ることができる。
コニャックをコニャックたらしめる法律は細かく定められているので割愛するが、コニャック地方のブドウ栽培地域は格付けが高いものからグランド・シャンパーニュ、プティット・シャンパーニュ……(以下省略)と6つの地区に分けられている。この上位2地区から生まれたオー・ド・ヴィー(原酒)だけを使用し、さらにグランド・シャンパーニュ産を50%以上使用したものだけがフィーヌ・シャンパーニュ・コニャックと称され、その代表的なものが、レミーマルタンのコニャックである。
今回ご紹介するXOとはExtra Oldの略。つまり、コニャックの規定ではオーク樽で最低2年の熟成が義務づけられているが、このレミーマルタンXOはオーク材の中でも品質の高いフランス・リムーザン産のオーク樽で最低10年熟成させている。長期熟成により、さらに複雑味を増し、ふくよかな香りと味わいを楽しむことができる1本だ。
そもそもこの1本のレミーマルタンXOの中には400種以上のオー・ド・ヴィーがブレンドされているのだという。その複雑な味わいに合わせてリンゴのさまざまな表情を楽しむデザートとのペアリングを発案してくれたのは「フレンチごはん 西麻布GINA」の能島舞シェフだ。
「レミーマルタンXOは、ストレートはもちろん、ソーダで割れば食中にも楽しめるお酒です。飲み終わったあとのグラスの香りまでかぐわしい、その変化を楽しんでいただきたいですね」(能島シェフ)
長い冬の夜を楽しむにはこれ以上ない贅沢なコンパニオンだと言えるだろう。
Remy Martin XO
度数:40度
容量:400ml
価格:2万1000円(税別参考小売価格)
問い合わせ:レミー コアントロー ジャパン