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カジ・シオン

推定年収、24億超──。世界で最も稼ぐユーチューバー、アメリカの小学生ライアン・カジくん(8歳)が、叩き出した数字だ。彼の父親でマネジメントを取り仕切るのは、福島県出身の日本人、カジ・シオンだ。高校生でアメリカに渡り、建築家として活躍していたカジさんがライアンくんの教育、今後の活動を語る。

カジは家族の仕事の関係で渡米し、大学時代に知り合ったベトナム系アメリカ人の妻─彼女は高校の理科教師だった─と24歳で結婚し、ライアンくんが生まれる。本業は建築家で、事務所に所属し、キャリアを積み重ねていた。ここまでは、どこにでもありふれたストーリーだ。

開始4カ月で、世界のトップ20にランクイン


「普通の一家」の生活が一変するのは、ライアンくんが3歳になった頃だ。

「ライアンが他のユーチューバーのおもちゃレビューが大好きで、やりたいと言ってきたのが始まりでした。最初は趣味程度です。僕たちの家族はベトナム、日本、中国などに点在していますから、ユーチューブにアップするのがちょうど良かったのです。見るのも家族くらいだろうと思って撮り始めました。

それが、はじめて4カ月で、世界のトップ20に入るユーチューバになっていました。チャンネルの再生回数が瞬く間に伸びていきました。今から考えると、ライアンのナチュラルなリアクションが、他のキッズユーチューバーにはない特徴だったのかな、と思っています。思ったこと、感じたことをそのまま撮影していました。

彼は本当に天真爛漫なんです。すべてナチュラルに楽しみ、カメラのオンオフ関係なく、変わらないでいることができる。始めたときから、彼はカメラの先にファンがいると理解して、語りかけていました。

驚いたのは僕たちです。最初は趣味でしたが、ファンの数の伸び、再生回数の伸びを見ていると、影響力が広がっていると思いました。もうこれは趣味でやる領域を超えています。そこで僕も仕事を辞めて、制作会社を立ち上げて、ブランドとして運営をしていこうと決めたんです」



すべてはライアンくんのためだった。これだけの影響力があれば、それを期待して接触してくる大人たちもいる。ビジネスの波に飲み込まれ、嫌なことを我慢してやらせることはしたくなかったという。

「なるべくライアンが好きなことをやらせるようにしています。最初はおもちゃレビューでしたが、今は年齢を重ねて、おもちゃの興味も変わってきています」

撮影時間は1週間で3時間を超えない


ライアンが好きなことができるように、カジは2016年に会社を退職。その後、本格的に制作会社立ち上げの準備を始め、経営に専念。現在は従業員も抱えるようになり、ビジネス面はカジが担当し、制作のプロデューサーは妻が担当している。大事なことは家族で決めている、という。

「僕と妻の間で、ライアンの撮影時間は一週間で3時間を超えないと決めています。ライアンも興味が広く、平日は学校が終わった後、テコンドーや体操、プログラミングといろいろな習い事にチャレンジしています。

今、成功していても、彼が将来「自分はユーチュバーとしてしか生きていく道がない」とは思って欲しくないんです。将来、ゲームプログラマーかコメディアンになりたいと言っているので、それならプログラミングの基礎は大事だろうと思って、習い事にも挑戦しています」

他のことを犠牲にしてまで、ユーチューブをやってほしくない


子供がユーチューブという新しいショービジネスの最前線に立つことになった。家族として、葛藤はあったのだろうか。

「葛藤はほぼ毎日です。何か判断を間違えれば、彼の将来の生活に関わる。今日やったことが、彼が大人になる中で、本当に良かったと思ってもらえるかは不安はあります。

他のことを犠牲にしてまで、ユーチューブをやってほしいとは思わないんです。ライアンが、一人の小学生として充実したプライベートライフを送るほうがはるかに大事です」

文=石戸諭 写真=小田駿一

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