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2020.02.10 11:00

ソフトバンクG株急騰で孫正義の資産が「1300億円分」の上昇に

孫 正義(Tomohiro Ohsumi/Getty Images)

ソフトバンクグループはここ数カ月の間、不名誉な形で世界の注目を集めてきた。同社が巨額の資金を注入したウィーワークのIPOは頓挫し、ウーバーへの投資でもリターンをあげられずにいた。

しかし、ソフトバンク関連の新たなニュースが報じられたのを受けて2月7日に株価は急騰し、創業者の孫正義は大幅に資産を増やした。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は2月6日、ビリオネアのポール・シンガーが率いる「エリオット・マネジメント」が、25億ドル(約2725億円)を超えるソフトバンクグループの株式を取得し、自社株の買い戻しや投資判断の透明性の向上などを求めていると報じた。

このニュースを受けて、ソフトバンクグループの株価は7日の東京市場で7.1%上昇した。これにより孫の保有資産は約12億ドル(約1300億円)増加し、当日の取引終了時刻には216億ドル(約2兆3700億円)に達した。

現在63歳の孫はソフトバンクのグループ全体の発行株式の約4分の1を保有し、ユニクロの親会社のファーストリテイリング創業者の柳井正に次ぐ、日本で2位の富豪となっている。

6日のWSJの報道で、エリオットはソフトバンクの経営陣と面談し、100億ドルから200億ドル規模の、自社株の買い戻しを要求したとされた。ビリオネアのポール・シンガーが創業したニューヨーク本拠のエリオットは物言う株主として知られ、昨年秋には投資先の米大手通信会社AT&Tに、要求を受け入れさせていた。

関係筋によるとAT&Tに変革を迫ったのは、シンガーの息子でエリオットのロンドン支社長を務めるゴードンだったという。エリオット・マネジメントはフォーブスの取材に、同社が非公開でソフトバンクと交渉中であることを認めた。ソフトバンク側は、「当社は常に前向きな議論を株主との間で進めている」と述べた。

ソフトバンクの980億ドルという時価総額は、保有する株式の評価額を大きく下回っている。ソフトバンクは中国のアリババの発行株式の25%を保有しており、その価値は1450億ドルに達している。同社はまた、米国の通信会社スプリントの支配株を取得している。

昨年11月の決算でソフトバンクは、1981年の創業以来で最悪の四半期赤字を計上し、ウィーワークへの投資で約92億ドルの損失を計上した。さらに、もう1つの出資先のインドのホテルチェーンOYOの経営も不振が伝えられ、インドと中国で1800人を解雇したのに続き、1月に米国オフィスで360人をリストラしたと報じられている。

ソフトバンクグループの株価は、昨年夏にウィーワークのIPOが頓挫して以来、6カ月間で15%近い下落となっていた。今回のエリオット関連のニュースが伝えられる直前の2月4日には、ビジョンファンドの米国マネジングパートナーだったマイケル・ローネンが退社することが明るみに出ていた。

ローネンは2017年にゴールドマン・サックスからビジョンファンドに移籍していた。

編集=上田裕資

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