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「(仮称)新大久保フードラボ」に取り組むJR東日本・山手線プロジェクトの服部暁文(左)、同山手線PTグループリーダーの古田恵美(中央)、アスラボCEOの片岡義隆(右)。

首都圏やその近郊の駅を降りると既視感に襲われる。どの駅前にも同じようなチェーン店がならび、駅ビルにも同じような店舗が軒を連ねているように見えるからだ。

「そういった風景がつくられてきた要因のひとつは鉄道会社にある。しかし、それを変えられるのもまた鉄道会社ではないか」。こう語るのはJR東日本、事業部 企画・地域共創課 山手線プロジェクトの服部暁文だ。

その言葉通り、JR東日本が2019年12月18日に発表した、山手線プロジェクトの最新の取り組みである「(仮称)新大久保フードラボ」は、駅に「個性」を出すことを目指している。

料理人起業支援のスタートアップであるアスラボ、オレンジページ、CO&COの3社と組み、新大久保駅直上に「新しい食文化」と「食を通じた新しいライフスタイル」を提案するシェアダイニングと食のコワーキングスペースを展開する。

この取り組みは、18年に発表されたJR東日本のグループ経営ビジョン「変革 2027」が掲げる「都市を快適に」の一環に位置づけられる。「変革 2027」の実現にむけ、「東京感動線/TOKYO MOVING ROUND」のもと、山手線を起点に、街の個性を引き出し、街や人が有機的につながる心豊かな都市生活空間を創り上げるプロジェクトだ。

「山手線は、世界的にも珍しい、歴史的・文化的な多様な地上を走る都心の環状線。その価値を再認識し、何かを生み出すことで東京の価値を上げることにつながると考えた」と山手線PTグループリーダーの古田恵美は語る。

そのためにまず「個性を出す」をコンセプトにして、乗客への調査を始めた。その結果、山手線の30駅のなかで、原宿や代々木は緑のイメージが強く、新大久保駅は国際性と食のイメージが強かったという。新大久保駅周辺は、近年コリアタウンとして有名だが、現在は韓国だけでなく各国の食が食べられ、インスタ映えするとあって若者に人気だ。乗降者数も増加している。

そこで服部と古田らは、新大久保駅をターゲットに「食」ならば誰もが参加しやすいのではないかと考えた。食をテーマにした「(仮称)新大久保フードラボ」を発案したのだ。

料理人起業支援のスタートアップであるアスラボと同プロジェクトをつないだのは、最近スタートアップへの投資・協業に積極的なJR東日本スタートアップだ。アスラボCEOの片岡義隆は、最初に今回のプロジェクトの話を聞いたときの印象をこう語る。

「言葉を選ばずに言えば、『すごいな』と思いました。JR東日本は、事業の性質的に安全第一。なのに、山手線を『個性化』していくと。スタートアップのように世の中を変えていく理念を持っている大企業はあるのですが、実現しようとなるとわりと普通のことになってしまうことがあります。でも、JRさんは理念も行動も本気で、僕らスタートアップと変わらない感じがしています」(片岡)

アスラボのミッションは、ITで料理人の起業、経営を支援し、チェーン店やなじみの店だけでなく、日本発の新しい味や一皿に出会う機会を増やすこと。これが同プロジェクトがつくりたい未来、ビジョンと合致し、一緒に動き出すことになった。

アスラボがJR東日本とともに具体的につくりたい未来とは? そう問いかけると片岡は「弊社のミッションの通り、料理人が挑戦しやすく、起業し成功する環境をつくっていきたい。そうすればチェーン店ではなく、個人の店舗が増え、社会全体が個性的になり楽しくなると思うんです。JRさんも個性を大切にした街をつくるというところで意気投合しました」と語った。

文=本多カツヒロ 写真=小田駿一

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