燃え尽き症候群が心臓に影響との新調査 リスクを抱える人は?

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休暇を使い切る理由が必要な場合、南カリフォルニア大学の研究者らの研究が役に立つかもしれない。

医学誌の予防心臓学欧州ジャーナル(European Journal of Preventive Cardiology)で1月に公開された同研究では、仕事で「燃え尽き症候群」を経験する人は不整脈を経験するリスクが高いことを科学者らが発見した。大半の人は仕事を避けることができないかもしれないが、この調査結果は幸運なことに、大半の人には当てはまらない。

研究者らは同研究で、怒りや強い疲労、抗うつ剤の使用、社会的つながりの弱さと、成人における心房細動の発生とのつながりを解き明かそうとした。

同調査は、調査開始時に心房細動を抱えていなかった1万1445人の健康転帰を基にしたもので、追跡期間は平均23.4年だ。この間に、心房細動は2220件確認された。年齢や人種などの要因を調整後、結果からは大きなストレスと疲労を定期的に抱えていた人(アンケートに対する答えから測定)は、ストレスがより少ない人と比べ、追跡期間中に心房細動を発症する確率が20%高かった。

ストレスが「普通レベル」の人は心配なし?


しかし、この結果を恐れ過ぎてはいけない。研究は主に、疲労と神経過敏、士気喪失の組み合わせである活力消耗に焦点を当てていたからだ。これは、眠れない夜を過ごすことや締め切りで大きなストレスを抱えることなど、普通の水準をはるかに上回るものだ。

主執筆者のパルビーン・ガルグ博士はフォーブスに対し「私たちが『消耗』という言葉(また、この論文で実際に研究したこと)について述べる際は、前夜眠れなかったことや、仕事で特に大変な1日を過ごしたことにより感じる強い疲労を指しているのではないことを読者が理解することが重要だ」と述べた。「私たちがここで言及している強度の疲労はより慢性的なもので、衰えない、あるいは野放しにされているストレスの結果として起きるものだ」

それに加え、活力消耗の状態にある人は罪悪感や自尊心の低さに苦しむことが比較的少ないことが多く、うつ病は心臓の健康状態の悪さに影響を与えていないことを示唆している。

研究の全体的な結果からは、消耗のレベルが高いほど、心房細動が生じるリスクが上がることが示唆されている。ガルグによると、こうした結果を医師や患者にとって臨床的に意義のあるものに変えるためには、さらに検討を重ねる必要がある。それまでは、仕事や生活でのストレスが心臓に大きな悪影響をもたらすのを防ぐためのいくつかの対策を実践しよう。

「消耗に対処するため実践できる簡単なステップとして、運動や健康的な食生活、十分な睡眠を確保する良い睡眠習慣の実践、生活のストレスについて信頼できる人、さらには専門家に話すことや外での時間を増やすこと、ヨガや瞑想(めいそう)などを含むストレス解消戦略の実践などがある」(ガルグ)

翻訳・編集=出田静

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