森岡:今回紹介するのは日本でも人気の「アークティックパーカ」です。
小暮:これもウールリッチ の名品中の名品。1972年、アラスカのパイプライン作業員の防寒ウエアとして開発された、まさに本格派。これもずいぶん前に買ったものを私、まだもっていますよ(笑)。
森岡:このパーカ、イタリアを中心としたヨーロッパでも大ヒットしたダウンでしょう。イタリアの洒落者たちは、スーツやジャケットの上にこのパーカを合わせます。イタリアでこの着こなしを見たとき、クラシックなドレスアイテムと本格的なアウトドアアイテムをクロスオーバーさせる“外し”の感覚が新鮮でした。
小暮:昔からウールリッチ を知る私のような年寄りは、アメリカらしいダウンとして見てしまいますが、ヨーロッパ経由でこのダウンを知ったという人ももはや多いかもしれませんね。
森岡:確かにそれはあるでしょうね。それにしてもこのダウン、羽毛もたっぷりで、そうとう暖かい。フードに付いたラクーンファーもボリュームがあり、ラグジュアリー。スポーツ向けのダウンとは佇まいが違います。ブランド名のように「リッチ」な気分になれるのでは。
小暮:アラスカの氷点下で活動するために開発されたダウンですから、クオリティも性能も折り紙付き。表地の素材はコットン60% × ナイロン40%のヘビーデューティーな素材。撥水性もあり、手触りもいい感じです。
森岡:ウールリッチでは何タイプかの「アークティックパーカ」を用意していますが、この「TT」というモデルは、デザインやディテールはそのままに、トーン・オン・トーンの配色で、とてもシック。落ち着いた雰囲気は大人の余裕を感じさせますね。 小暮:ダウンがこれだけ入っていれば、日本ならば、中はニット一枚でも過ごせます。
森岡:ダウンの色と合わせて、ベージュ系のニットに、グレーのパンツなどを。いかにもヨーロッパのリゾートスタイルというコーディネイションが出来上がるのでは。
小暮:もうスタイリングまで考えている!さすがプロ。
森岡:Forbesの読者によく似合う、ファッショナブルで、ステータス性のあるダウンです。
森岡 弘◎『メンズクラブ』にてファッションエディターの修業を積んだ後、1996年に独立。株式会社グローブを設立し、広告、雑誌、タレント、文化人、政治家、実業家などのスタイリングを行う。ファッションを中心に活躍の場を広げ、現在に至る。
小暮昌弘◎1957年生まれ。埼玉県出身。法政大学卒業。82年、株式会社婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。83年から『メンズクラブ』編集部へ。2006年から07年まで『メンズクラブ』編集長。09年よりフリーランスの編集者に。