全米での大麻合法化、大統領選の民主党候補者たちはどうみる?

バーニー・サンダース上院議員(Photo by Justin Sullivan / Getty Images)

米大統領選の候補者を選ぶ予備選の初戦、中西部アイオワ州で行われた党員集会の直前、左派のバーニー・サンダース上院議員は、自らが大統領に選出されれば「就任直後に大統領令を出し、50州すべてで大麻(マリファナ)を合法化する」との考えを明らかにした。

サンダース議員は薬物を巡る「破壊的な戦いを終わらせる」として、大麻合法化の重要性を強調。所持による逮捕歴を抹消することも約束した。また、合法化した後の関連産業は少数の企業によって支配されるものではなく、アフリカ系やラテン系、先住民のコミュニティーなど、最も苦しい環境に置かれてきた人に収入の機会を提供する産業にすると述べている。

ただ、サンダース議員が実際に大統領として全州での合法化を実現できるかどうかはもちろん、就任した直後にそれを実現できるかどうかはまったく分らない。行政府には規制物質法(CSA)に基づき、議会を関与させることなく大麻の分類を変更する権限がある。だが、変更においては司法長官と保健福祉長官の協力を得る必要がある。サンダース議員が合法化のために、就任“初日”に両省の長官を任命できる可能性は低い。

また、薬物に関する国際条約に加盟していることも、米政権が大麻をCSAの規制対象から外すことを難しくするだろう。全州での合法化を目指すとしても、大麻を違法としている各州の法律を廃止させるために、大統領にできることは多くない。

ワシントンポスト紙は先ごろ、サンダース陣営は同議員が大統領に就任した後、2021年前半に出す可能性がある大統領令のリストを作成しており、そこには「連邦レベルでの大麻の合法化が含まれている」と報じた。

サンダース議員は大統領選への出馬を表明した2015年、大麻を規制薬物から除外する法案を上員議員として初めて提出。大統領候補として合法化の支持を打ち出したのも、同議員が初めてだ。

その他の違法薬物


「薬物に関する戦いの終結」を訴えてきたサンダース議員だが、大麻以外の規制物質については「まだその段階にない」として、正式な見解を表明していない。

一方、その他の民主党の大統領候補は、それぞれ大麻とそれ以外の薬物についても、取り扱いに関する考えを明らかにしている。アイオワ党員集会で大躍進を見せた前インディアナ州サウスベンド市長のピート・ブッティジェッジは、人種間の平等とメンタルヘルスの問題に関する対策の一環として、あらゆる薬物の所持を非犯罪化したい考えを明らかにしている。

ハワイ州選出のトゥルシー・ギャバード下院議員も先ごろ、現時点で違法とされている薬物を「合法化した上で規制」する考えに賛成を表明。起業家のアンドリュー・ヤンと慈善活動家のトム・ステイヤーも同様に、被害を減らすための対策として、オピオイド系薬物の所持の非犯罪化を訴えている。

さらにヤンは、退役軍人を対象として、治療目的でのマジックマッシュルームの使用も合法化すべきだと主張している。

編集=木内涼子

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