ランキングでは所有航空機の使用年数が重要な要素とされたが、米航空会社の多くでは保有航空機の平均機体年齢が20年を超えている。ただ航空アナリストらに言わせれば、だからといって米国の航空会社の安全性が他の地域(例えば、新しい機材をそろえているアジアの航空会社)よりも低いわけではない。
結局のところ、世界の大手航空会社はほぼ全てが特定の安全性基準に従っており、全社が素晴らしいエンジニアチームを抱えている。つまり、航空会社の安全性はどこも似たようなものだ。データのまとめ方は、上位30社の多くにとって非常に不公平なものとなっている。トップ30に入った企業は、トップ10に入っている企業と安全性はさほど変わらないだろう。
例として、マレーシア航空を見てみよう。同社は素晴らしい航空会社で、傑出したサービスを提供し、安全面の実績も素晴らしかったが、同社のMH370便は2014年3月、謎の失踪を遂げた。同便の機材であるボーイング777型機は、それまで一度も死亡事故を起こしたことがなかった。
同機が墜落した場所と原因は今でも分かっていないが、これまで開発された飛行機の中でも特に安全性が高いボーイング777が跡形もなく消え去るなど、通常では考えられない。これによりイメージが傷ついたマレーシア航空だったが、さらにその数カ月後、同じくボーイング777型機を使用したMH17便が撃墜され、乗客乗員全員が死亡する事件に見舞われた。
MH17便の撃墜は間違いなく、マレーシア航空が防げるものではなかった。MH370便の失踪もそうかもしれない。しかし同社はこれにより、非常に危険な航空会社という不当な評価を世界で受けることになった。これは本当に、信じられないような悪運だ。同社の評判は取返しのつかない打撃を受けた。
最近には、ライオン・エアとエチオピア航空の2社でボーイング737MAX型機の墜落事故が起きた。ライオン・エアの安全面の実績は最高とは言えないが、エチオピア航空は新しい航空機をそろえ、アフリカでも特に安全な航空会社とみなされてきた。つまり、世界の安全な航空会社ランキングのデータは、航空会社では防ぎきれなかった事故に見舞われた会社に対して不公平になり得るのだ。
現実的に見れば、デルタ航空やブリティッシュ・エアウェイズなどの大手航空会社では、トップ10に選ばれた航空会社と同じくらい安全な空の旅ができるだろう。