ビジネス

2020.02.09

アマゾンが「小売業界の帝王」であり続ける理由

Photo by Chesnot / Getty Images


同社の技術的ルーツを踏まえれば、接客の自動化を推し進めた方が簡単だったかもしれない。しかし、そうしたことも起きなかった。

アナログ世界の実店舗の多くは、先を争うように、セルフサービスレジを導入している。それに、カスタマーサービスに電話してくる顧客の応対は、自動化ソフトウェアのボットに任せている。

皮肉なことに、実店舗を展開する小売業者の経営陣は、アマゾンの成功から何ひとつ学んでいない。彼らは、競争するには顧客との接触を減らすべきだと思い込んでいる。だが、これ以上の勘違いはない。

「Inc.」の報道によると、コンサルティング企業大手PwCの2018年調査から、米消費者の64%が、ブランドは自動化を急ぎすぎており、人間的な関わり合いが失われてしまったと感じていることがわかった。

しかし、アマゾン経営陣が自動化に取り組んでいるのは、「顧客の目に触れない」倉庫やサプライチェーンなどだ。

その一方で、同社は顧客とのやりとりにあたる従業員の雇用を増やしている。

アマゾンが小売業として勝利を収めているのは、モノを売る際に大事なのは人と人との関係であってテクノロジーではないことに、経営陣がかなり前から気づいているからだ。

アマゾン・ドット・コムが好調であることに、投資家は驚くべきではない。同社のビジネスは、小売業を制することを目指して、土台から築き上げられてきたのだ。

2019年は、主に調整の1年だった。しかし2020年には、同社の株価は過去の記録を打ち破り、時価総額1兆ドルに向かって、そしてさらには、それを大きく上回るレベルへと突き進んでいく可能性がある。

アマゾン・ドット・コムが2020年1月30日に発表した2019年第4四半期決算は、目を見張るものだった。売上高はぐんと伸び、前年同期比21%増の874億ドル(約9兆6096億円)に達した。営業キャッシュフローは25%増の385億ドルとなった。

アマゾン株は、株価収益率(PER)68倍、株価売上高倍率3.5倍で取引されている。いずれの指標も高いわけではない。なぜならeコマースは、小売業の売上全体において、さらに目下の成長において、いまよりもはるかに大きな部分を占めることになる可能性があるからだ。

少しでも値が下がって、買いの好機が訪れないか、投資家は注意深く見守るべきだ。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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