ビジネス

2020.02.08

米国で加熱の「ロボアドバイザー」投資、米シティ銀行も参入

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世界の大手金融機関が相次いで、ロボアドバイザーの導入を進めるなか、米国のシティグループは新たなデジタル投資プラットフォーム「Citi Wealth Builder」の立ち上げを、1月30日、発表した。5万ドル以上の預金をシティ銀行に持つ顧客は無料で利用可能という。

JPモルガンやウェルズ・ファーゴ、バンク・オブ・アメリカらを追撃するシティは、「Citi Priority」や「Citigold」などのアカウントを保有するロイヤルな顧客には、無料でサービス提供を行う。その他の顧客は0.55%の手数料支払いと、残高を1500ドル以上に保つことが必須となる。

シティは今回のプログラムを通じ、次世代の金融サービスを提供していくと述べた。

他の金融機関が提供するロボアドバイザーと同様に、Citi Wealth Builderはまず、顧客らの好みを質問し、それに適合するポートフォリオを提案する。顧客はリアルタイムで投資額の調整が可能で、成績を確認できる。24時間体制のサポートも提供される。

シティはシステム開発をInvescoの一部門であるJemstepに委託した。同社は既にCitigrold会員向けに手数料無料のETFトレーディングや、投資プランニングサービスのCiti Wealth Advisorを提供中だ。

若い世代の間で、モバイル経由の投資サービスが人気を博す中で、シティのロボアドバイザー分野への進出は、必須の課題となっていた。手数料無料の株取引アプリを提供する米国のユニコーン「ロビンフッド」のアカウント数は、昨年末に1000万件を突破していた。ロビンフッドの企業価値は昨年7月に76億ドルとされていた。

シティが今回、一部の顧客限定ではあるが手数料無料を打ち出したことは、業界のトレンドとも合致する。米国のインターネット証券チャールズ・シュワブは昨年、同業大手のTDアメリトレードを260億ドルで買収したが、10月にシュワブは株式取引料の無料化を発表し、TDアメリもそれに追随していた。

資産運用大手のフィデリティ・インベストメンツも10月に、株やETFの取引手数料の撤廃を宣言していた。株取引の手数料ゼロが一般的になる中で、この分野の大手は富裕層向けの資産管理サービスなど、新たな収益源の確保を模索している。

富裕層に強いゴールドマン・サックスも、年内のロボアドバイザーサービスの立ち上げに向けて動いている模様だ。

編集=上田裕資

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